小幡氏はこれまでさんざん株式市場のバブルは崩壊すると言い続けてきた。本人も「予想を外し続けている自分」「私は逆神と思われている」と自覚しているが、バブルはいつ崩壊するかわからないのが普通なので時期は当たらなくてよい。今回のAI・半導体バブル崩壊の記事は、特に説得力のある記事だった。「AIの中核企業であるアンソロピックとオープンAIのどちらかは確実に消え」の記述を読んで、おぼろげに感じていたことを言葉にしてくれたと思った。高い確率で今回の小幡氏の予想は当たる。いや当たらなくてはならない。理由を以下に述べる。
私はアンソロピックのclaudeなしではもはや仕事はできない。それとアンソロピックが企業として持続性があるかは別の話だ。毎月100ドル払ってくれるユーザーが1億人いればアンソロピックは継続的に事業をやっていけるが、そこまで課金ユーザーは増えない。claudeに毎月100ドル以上課金して元が取れる人間は1億人もいない。今後増えたとしても1億人には届かない。もし1億人に届いたとしたら、それは社会が大幅に変わることを意味する。それもかなり悪い方向にだ。claudeを使いこなす1億人でホワイトカラーの仕事は全てこなしてしまうからだ。
世界の人口は80億人いて、そのうち働いている人は35億人だ。働き口は第一次産業が9億人、第二次産業が8.5億人、第三次産業が17.5億人だ。第一次産業と第二次産業は人間の身体が必要な仕事がほとんどなのでAIの影響を受けにくい。第三次産業の中でも介護や接客サービスは人間が必要なのでAIの影響を受けにくい。人間が必要な仕事についている人の数は第三次産業17.5億人の中の10億人だ。のこりの7.5億人がいわゆるホワイトカラーだ。1億人のAIを使いこなす人でホワイトカラーの仕事が片付いてしまったら6.5億人が失業する。35億人のうちの6.5億人は多い。しかもホワイトカラーはそれ以外の人より給与が高めだ。彼らへ支払う給与が消える(=その分の消費が消える)影響は大きい。消費が減少する影響は社会の全てに及ぶ。6.5億人が失業すると社会は大混乱に陥るだろう。これまで大した仕事もしていなかったのにでかい顔をしていたホワイトカラーが自滅しても、そんなのは知ったことかと思う人は多いだろうし、私もざまあみやがれと思う。しかし溜飲がさがるのと社会が大混乱に陥るのを防ぐのとでは後者を重視せざるを得ない。
今のレベルのAIでもその力を十全に発揮してしまうと、社会はディストピアと化するということだ。以前はAIが人間を超えるシンギュラリティに達すると社会がディストピア化すると警鐘が鳴らされていた。シンギュラリティに達するまでもなく、AIがそこそこ働けるようになるだけで社会はディストピア化するのだ。
だからAIバブルが弾けるのはディストピアを防ぐためにも必然だ。そこに自然に落ち込むのなら、社会は意外にうまく動いていると感心せざるを得ない。