2026年4月2日木曜日

Switchbot ハブミニがインターネット接続できなくなるも、今回はAWSのダウンではなかった

これまでSwitchbotの動作がおかしくなったことは2回あって、それはSwitchbot社のサーバーがおいてあるアマゾンのクラウドAWSがダウンしたときだった。1週間前に我が家中のハブミニが全てインターネット接続エラーになった。一台だけなら個別の異常だが、全機がおかしくなるのだから、またAWSのエラーだと思った。前回と前々回の経験からサポートに連絡しても無駄で、AWSが回復するのを待つしかないことを知っていた。今回も待つしかないと思い待った。しかし1週間経っても直らないし、XにAWSダウンの書き込みもない。これはもしかして我が家固有の異常かもしれないと思って調べた。無線APは異常なし。家庭内LANのDNSサーバーも異常なし。ルーターも異常なし。ハブミニ以外のIoT機器は全て正常に動いている。しかたないので、通信系の機器を一台一台再起動していった。無線APは無関係。DNSサーバーも無関係。ルーターを再起動したら、なんと直ってしまった。ルーターが原因だったとは意外だった。5年以上再起動なしで使っていたので、ストレージやメモリにゴミが溜まっていたのかもしれない。

2026年4月1日水曜日

鉄は食べると毒なのか

炭素鋼の中華鍋を毎日使っている。中華の鉄人である。すっかり油が馴染んでどんな料理でもおいしく作ることができる。この中華鍋から微量の鉄分が料理にとけだしていると思う。鉄分は身体に必要なミネラルだが、本当のところはどうなのかをgeminiに聞いてみた。私は材料工学を修めているので、鉄と言っても純鉄と炭素鋼は区別する。そして錆びた鉄である酸化鉄も気になるので、純鉄/炭素鋼/酸化鉄のそれぞれの毒性を聞いた。回答は以下。錆びた鉄が一番安全とは意外であった。中華鍋を数ヶ月放っておくと錆びるが、普通に洗って使えばよいとわかった。

---gemini回答---

鉄は私たちの体に必要なミネラルですが、「鉄分補給」として純鉄や鉄鋼をそのまま食べるのは、栄養学的な摂取とは全く別次元の話になります。

結論から言うと、**化学的な毒性(中毒)よりも、物理的な損傷や消化管への負担**が先に問題になるケースが多いです。それぞれの特性を整理して解説しますね。

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## 1. 純鉄(じゅんてつ)

純度が高い鉄($Fe$)の場合、主なリスクは**「胃酸との反応」**と**「過剰摂取」**です。

* **化学反応:** 胃に届くと、強力な胃酸(塩酸)と反応して塩化第一鉄($FeCl_2$)と水素ガスが発生します。

    $$Fe + 2HCl \rightarrow FeCl_2 + H_2 \uparrow$$

* **毒性:** 生成された鉄イオンが大量に吸収されると、急性鉄中毒を引き起こします。嘔吐、下痢、最悪の場合は肝不全やショック状態に陥る可能性があります。

* **物理的リスク:** 粉末状(還元鉄)なら一部は吸収されますが、塊の場合は吸収されず、消化管を傷つけたり閉塞させたりする物理的ダメージが支配的です。


## 2. 炭素鋼(たんそこう)

鉄に少量の炭素($C$)を加えた、いわゆる「普通の鉄(鋼鉄)」です。

* **成分:** 98%以上が鉄で、残りは炭素や微量のマンガンなどです。

* **毒性:** 基本的な化学的挙動は純鉄と同じです。しかし、炭素鋼は「加工品(釘、ボルト、破片など)」であることが多いため、**鋭利な形状による内臓穿孔(穴が開くこと)**が最大の脅威となります。

* **補足:** 炭素自体は無毒(ダイヤモンドやグラファイトと同じ)なので、炭素鋼特有の化学的毒性は無視していいレベルです。


## 3. 酸化鉄(さんかてつ)

いわゆる「サビ」や「顔料」です。

* **毒性:** 実は、純鉄よりも体への吸収率は低く、**比較的低毒性**です。

* **用途:** 赤色酸化鉄(三二酸化鉄)などは、食品添加物(着色料)として認められているものもあります。

* **リスク:** 大量に摂取すれば胃腸を刺激し、腹痛や吐き気を引き起こしますが、サビた釘を誤飲して問題になるのは、酸化鉄の毒性よりも「破傷風菌などの細菌」や「鋭利な形状」によるものです。

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### 比較まとめ


| 物質 | 主なリスク | 毒性の強さ | 備考 |

| :--- | :--- | :--- | :--- |

| **純鉄** | 急性鉄中毒、ガス発生 | 中〜高 | 粉末はサプリに使われるが量は微量 |

| **炭素鋼** | **物理的損傷(穿孔)** | 中 | 形状による危険性が非常に高い |

| **酸化鉄** | 胃腸への刺激、便秘 | 低 | 大量でない限り化学的毒性は低い |


### ⚠️ 重要な注意点

もし誰かが(あるいはペットが)これらを誤飲してしまった場合、無理に吐かせると食道を傷つける恐れがあります。特に鋭利なものや、大量の粉末を摂取した場合は、すぐに医療機関を受診してください。

> **ちょっとした豆知識:** > 鉄サプリメントの過剰摂取は、子供の誤飲事故で非常に危険なものの一つです。見た目がチョコレートやラムネに似ていることが多いため、大人用の鉄剤は子供の手の届かないところに保管するのが鉄則ですよ。

2026年3月31日火曜日

GPT-5.1を使ったばかりにH100GPUを5日間分も無駄使いしてしまい、Claude MAXの加入を決心

Claude Sonnet 4.6の枠が尽きたので、仕方なくGPT-5.1に実験の手伝いをさせていた。ほぼ同じ処理のプログラムで、初期条件だけが違うタスクを24本走らせた。Claude Sonnet 4.6が担当した12本はA100GPUを8枚積んでいるサーバーで、GPT-5.1が担当した12本はH100GPUを8枚積んでいるサーバーで走らせた。

Claude Sonnet 4.6にやらせていた12本は総計算時間2時間で終わった。GPT-5.1の12本は5日間経っても終わらない。おかしいと思って枠が復活したClaude Sonnet 4.6に計算途中のログを調べてもらったら「GPUを使わずにCPUで計算しています。あと20日かかる予定です。」と教えてくれた。GPT-5.1は中学生くらいだと以前書いたが、その通りだった。GPT-5.1を仕事のパートナーにするのは危険だと学習できた。それにしても使用料が高価なH100を使ってないのに、5日間も無駄に確保してしまった。もったいなさすぎる。Claude MAXの使用料である月額200ドルを支払った方がはるかに安上がりだった。

という訳で、Claude MAXの月額100ドルプランの方(x5版)に加入したのだった。Claude Pro/MAX(x5)/MAX(x20)間のプラン変更はアップグレード方向への変更は良心的で、以前のプランの料金を日割りで返してくれる。ダウングレード方向への変更は冷たくて、料金は日割りで返してくれない。今のプランが有効な日まできっちり使い続けろという扱いになる。

2026年3月28日土曜日

進化とは自然に自分をアップデートすること

オーストラリアにいる1匹の牛が道具を使えることが報告された。あぶに刺されてかゆいのだが、デッキブラシを器用に使って自分の体をかくのだそうだ。猿や鳥は仲間が道具を使うとそれを真似て他の個体も使えるようになるが、牛の場合はこの1匹だけだ。この牛だけ特殊な個体(突然変異)なのだろう。この牛の子孫が道具を使えるようになるかはわからないが、もしそうなったら進化して新しい種になったと言える。

生物の進化はランダムな変化として起こるが、そのランダムな変化がたまたま環境にうまく適応した場合は生存に有利になるので、子孫が増える可能性が高くなる。後から見ればこれが進化となる。

現代でも進化の例はいくつも報告されていて、鳥類や哺乳類が意外と短い期間(数十年から数百年)で性質が変わった例がある。

ホモサピエンスは10万年前から進化していないが、今後進化するとすれば脳の変化だろう。環境に適用するという観点からすると、知性が高い方が生き延びる確率は上がる。ホモサピエンスの進化は知性が高まる方向になるだろう。この進化を期せずして実行してしまったのが、アシュケナージ系ユダヤ人だ。かれらは1000年間にわたりヨーロッパで迫害された結果、知性が高い個体しか生き延びることができず、結果的に賢くなってしまった。人口では世界の0.2%にすぎないユダヤ人がノーベル賞の20%をとっている。米国の大企業の社長は30%〜40%がユダヤ人である。

ランダムな進化を待たなくても、考え方を変化させることで進化と同等の、賢くなるという結果を得ることもできる。ただしこの場合は子孫に伝わらないので生物学的な進化ではない(後天的な変化が少し子孫に伝わるというメカニズムがあるという研究も出てきたが、それはまた別の話)。考え方を変化させられるから賢いのか、賢いから考え方を変えられるのかの議論は意味がなく、両方が真である。賢い人は考え方を変えることに躊躇しない。そしてさらに賢くなる。のんびりした進化を待つのもかったるい。自分から賢くなる方が楽だ。

2026年3月27日金曜日

Claude Pro/Copilot Pro+/Cursor Pro の3つを比べてClaude Proに課金することに

月額10ドルのCopilot Pro契約では課金枠を1週間で使い果たして困ってしまうと以前書いた。4月1日に枠が復活するのを待とうと思っていたが、あと4日もあってその間ずっと非効率な仕事を強制されるのは我慢できないと思って、Claude Pro(月額20ドル)を契約した。快適だ。

Claude Opus4.6やClaude Sonnet 4.6/4.7をたくさん使う目的では、手頃な価格のプランはみっつあった。Claude Pro(月額20ドル)、Copilot Pro+(月額39ドル)、Cursor Pro(月額20ドル)だ。どれを選んでも問題ないくらいどれも優秀でお得なプランなのだが、5時間で枠が回復するという特徴に魅力を感じてClaude Proを選んだ。私には魅力の5時間枠は人によっては欠点とみなされる。5時間で使える量が制限されているのは、集中して使う人には欠点となるのだ。私はそこまで集中して仕事をしないので、これでよい。私も使用開始後2時間くらいで5時間枠を使い切ってしまい、残りの3時間を待つというハメに陥った。Claude MAX(月額100ドルか200ドル)に変えないとだめみたいだ。

Claude ProはCLIがデフォルトのツールであり、ターミナルで使える。これはありがたい。最近はそんなにコードを書かないので、IDEであるVS codeやCursorを起動する必要は薄い。VS codeやCursorは無駄にPCの画面面積を消費するので嫌いだった。ターミナルで仕事が済むのはストレスが減る。

Claude Proは月額20ドルだが、年払いだと200ドルで済む。1ヶ月使って問題がなかったら年払いに切り替えようと思う。

2026年3月23日月曜日

apt install singularity で入ったのはゲームだった

sifコンテナを動かそうとPCを新調してapt install apptainerと実行したら、apptainerはないと言われた。じゃあという訳でapt install singularityを実行したらsingularityが入った。そこから準備して計算を始めたら動かない。which singularityで見たら/usr/games/singularityと出た。あれ?これはゲームなのでは?

調べるとubuntu 22.04LTSではaptの純正リポジトリにはapptainerはないそうだ。add-apt-repository ppa:apptainer/ppa コマンドにてリポジトリを追加すればapptainerは入る。純正リポジトリでapptainerがインストールできるのは23.04からなのだった。

せっかく入れたのだからsingularityを起動してみると、なかなか面白そうなゲームだった。テキストベースのストラテジーゲームだ。時間がとれたらやってみたい。

2026年3月20日金曜日

古い紙幣が使えるのは既得権益に固執する日本の特徴

日本社会において既得権益という言葉は、単なる経済的利益の享受を超え、社会構造や法制度、さらには国民心理の深層に根ざした多面的な現象として認識されている。一般的に、経済合理性や時代の変遷に伴う制度の刷新が求められる局面においても、日本では過去に確立された権利や慣習が強力に保護され、変革が著しく停滞する傾向が観察される。特に、通貨制度における旧紙幣の永続的な有効性や、財政的限界に直面しながらも現行受給者の利益を優先する年金制度の運用は、その象徴的な事例として挙げられる。本報告書では、これらの事例を端緒として、日本社会における既得権益の所在とその保護メカニズム、そしてそのような構造が形成・維持されてきた歴史的・文化的背景を分析する。

  1. 通貨制度における法的安定性と強制通用力の永続性

日本の通貨制度において、新紙幣(日本銀行券)の発行後も旧紙幣が原則として無期限に有効であり続ける点は、国際的に見て特異な側面を有している。これは単なる慣習ではなく、日本銀行法という明確な法的根拠に基づいた仕組みである。

日本銀行法第46条と無制限の強制通用力

日本銀行法第46条第2項は、日本銀行が発行する銀行券について、無制限の強制通用力を持つと規定している。この強制通用力とは、金銭債務の支払手段として提示された際に、相手方がその受け取りを拒否できない法的効力を指す。重要なのは、この効力が現在発行されている券種だけでなく、過去に発行され現在は製造が停止されている券種(旧紙幣)に対しても、法律に基づく失効手続きが行われない限り維持されるという点である。日本銀行の資料によれば、現在でも明治時代に発行された一部の紙幣を含め、多くの旧紙幣が依然として有効な通貨としての地位を保っている。

国際比較における日本の特異性

諸外国の通貨更新における対応を概観すると、日本の永続的有効性がいかに特徴的であるかが明白となる。

国・地域 | 旧紙幣の法的有効性 | 中央銀行での交換期限 | 根拠・背景

日本 | 原則として永続的に有効 | 期限なし | 日本銀行法第46条。明治以降の多くが有効

イギリス | 一定期間後に失効 | 原則として期限なし | 新紙幣導入後、速やかに回収

ドイツ(ユーロ) | 店舗使用不可 | 期限なし | 資産価値は保証

フランス(ユーロ) | 店舗使用不可 | すでに終了 | 2012年に終了

イタリア(ユーロ) | 店舗使用不可 | すでに終了 | 2011年に終了

イギリスの場合、新紙幣への移行に伴い旧紙幣は法定通貨としての地位を失い、日常的な店舗での支払いに使用できなくなる。一方で、日本においては旧札が使えなくなるという主張は、しばしば高齢者を標的とした詐欺の手口として利用されるほど、通貨は常に使えるものという認識が社会に浸透している。

通貨の永続性が保護するタンス預金という既得権

日本において旧紙幣の効力が守られ続ける背景には、国民が保有するタンス預金の存在が無視できない。日本国内で家庭内に保管されている現金は100兆円を超えると推計され、その多くは高齢者が所有している。もし日本が諸外国のように旧紙幣に明確な有効期限を設け、短期間での交換を強制した場合、これらの現金が一斉に表面化することになる。これは脱税防止には有効だが、同時に静かに資産を保有し続けたいという高齢層の既得権を著しく侵害することに繋がる。また、認知能力が低下した高齢者が交換期限を逃し、資産価値を喪失するリスクを政府が回避しようとする配慮も働いている。


  1. 社会保障制度における既得権とシルバー民主主義の力学

通貨制度以上に深刻な既得権の対立が見られるのが、公的年金制度である。少子高齢化に伴う現役世代の負担増が指摘されながら、既に受給を開始している世代の給付水準を抑制することには強い抵抗が存在している。

マクロ経済スライドの抑制と調整の遅滞

日本の年金制度には、現役世代の減少や寿命の伸びに合わせて給付水準を自動調整するマクロ経済スライドという仕組みがある。しかし、この仕組みは長年、十分には機能してこなかった。最大の理由は、調整によって年金額が前年度を下回らないようにするという名目下限維持のルールが存在したためである。デフレ局面においてこのルールが障壁となり、本来行われるべき給付の抑制が見送られ続けた。その結果、既存の受給者は本来の経済状況に照らして相対的に高い給付水準が維持され、そのツケが将来世代や現役世代の負担増という形で転嫁されている。

法的障壁:真正不遡及と正当な期待

既に決定し支払われている年金額を減額することには法的困難も伴う。憲法上の財産権(第29条)や、法社会学的な観点からの正当な期待の保護が議論されるためである。すでに受給権が発生している分について、後出しの法改正で遡って不利益に変更することは、法的安定性を揺るがすものとみなされやすくなる。

政治的背景としてのシルバー民主主義

法的な論理以上に決定的なのが、人口構造の変化に伴う政治的影響力の偏り、すなわちシルバー民主主義である。高齢者の投票率が若年層に比べて著しく高いため、政治家にとって票田である高齢層に不利益をもたらす年金減額を打ち出すことは、選挙における敗北に直結するリスクを伴う。そのため、合理的とされる改革であっても、既存の権利を持つ層の同意を得られないものは先送りされる傾向がある。


  1. 産業構造における既得権:鉄の三角形と規制の壁

既得権益の保護は、特定の産業や職能団体においても顕著である。これらは政治家、官僚、業界団体の密接な癒着構造(鉄の三角形)を通じて維持されている。

農業における既得権:農地と補助金

日本の農業分野は、農協(JA)を通じた政治的圧力や、高関税、補助金制度によって長らく保護されてきた。農地法の規制によって農地の所有や転用を厳格に制限し、既存の農家の利益を守ってきたことが、結果として土地活用の柔軟性を失わせ、休耕地の増大を招く一因となった。

医療・専門職におけるライセンス既得権

医療や士業などの専門職種においても、資格制度という名の参入障壁が既得権を形成している。国民の生命を守るという正当な目的がある一方で、その供給量を厳格に制限し、競争を排除することで、既存の資格保持者の地位が保証されている。医学部の定員抑制や、オンライン診療の普及に対する抵抗、ライドシェア導入への反対などは、既存事業者の収益機会を守るという側面が否定できない。


  1. 日本社会が既得権を過剰に守るようになった理由

なぜ日本はこれほどまでに既得権の保護に固執するのか、その理由は歴史、法制度、文化の三点から説明できる。

1940年体制の残滓

経済学者の野口悠紀雄氏らが提唱する1940年体制論によれば、現代日本のシステムの根幹は、戦時下の総力戦体制構築のために形成されたものである。官僚が産業を指導・保護し、弱い企業に合わせて歩調を揃える護送船団方式は、高度成長期には機能したが、環境が変化した現在でも国が特定の層を守るという発想から脱却できていない。既得権の保護は、かつての国民全体の幸福の最大化のための手段が目的化して残った結果と言える。

法制度における無謬性の追求と現状維持バイアス

日本の行政運用においては、一度決めたことは正しいとする無謬性の原則が強く働く。制度を変更することは過去の決定が誤りであったことを認めることに等しく、組織にとって回避対象となる。また、日本の法文化では既存の権利状態を維持しようとする信頼の保護が重視され、変化による損失を過大に評価する現状維持バイアスが強力に機能している。

文化心理的要因:和の精神とリスク回避

文化的な側面からは、摩擦を回避しようとする和の精神が既得権の保護に寄与している。既存の権利を奪うことは激しい対立を生むため、現状のバランスを維持することが賢明な選択とされやすくなる。また、日本人は将来の大きな利益よりも現在の確実な権利を維持することを優先する損失回避性が強いとされている。

総括

日本において既得権益が強固に守られる理由は、法的安定性への拘泥、シルバー民主主義という政治的力学、そして戦時体制から続く護送船団方式という成功体験に基づいている。旧紙幣が永遠に使えるという事実は資産価値の変動リスクを国民に負わせない過保護な国家像の投影であり、年金受給額の維持も過去の約束は絶対であるという法的フィクションの産物である。しかし、これらの保護は常に誰かの犠牲の上に成り立っている日本社会が持続可能な発展を遂げるためには、既存の権利に対する過度な執着を排し、公平な競争と合理的な負担分かち合いに基づく新たな社会契約の構築が不可欠である