2025年5月15日木曜日

鈍重な戦闘機しか作っていなかったスホーイ社がSu-27でいきなり運動性能を高めた理由

Su-27は運動性能がF-15に匹敵する高性能機であり、形状が鳥のようで美しい。これを作ったスホーイ社はそれまでSu-7/9/15などの真っ直ぐにしか飛べない戦闘機しか作っていなかったので、Su-27の出現は宇宙人から技術供与を受けたのではないかと思うくらい不思議なことだった。

今回改めて調べると、Perplexityが以下のような顛末を教えてくれた。宇宙人からの技術供与でもアメリカの技術を盗んだのでもなく、ロシアが自力でSu-27を作り出したようだ。

---Perplexityの説明---

Su-27以前のスホーイ設計局の主力戦闘機(例:Su-9、Su-11、Su-15など)は、主に「対爆撃機迎撃専用機」として設計されていました。これらは高速・高高度・長距離飛行や大型レーダー搭載を重視し、運動性能(格闘戦能力)は二の次でした。そのため、MiGシリーズなどの前線戦闘機に比べて機動性が劣る傾向がありました。

1970年代後半、米空軍がF-15イーグルなど高機動戦闘機を実用化し、空中給油による戦闘機の長距離展開も進みました。加えて、ベトナム戦争の教訓から「爆撃機以外との空中戦(ドッグファイト)」が現実的な脅威と認識されるようになり、防空戦闘機にも高い格闘性能が求められるようになりました。

これを受けて、ソ連当局は「高速・長距離・重武装」に加え、「敵戦闘機と十分な機動戦闘ができる空中機動性能」を新型機に要求。スホーイ設計局はこの難題に取り組むことになります。

スホーイは中央流体力学研究所(TsAGI)と協力し、徹底した空力解析を実施。揚力と抗力のバランスに優れた「オージー翼」形状やLERX(前縁根本延長)、大型カナード(後の派生型)など、世界最先端の空力設計を導入しました。これにより、同じ翼面荷重でも従来機より大幅に高い揚力係数を実現しました。

従来の機械式操縦では不可能な「静的安定性の低い(不安定な)」機体設計を、FBW(電気信号による操縦)で制御することで、機体の運動性能を飛躍的に向上させました。これにより、通常なら危険な高迎角・失速領域でも制御を維持でき、コブラ機動など特異なマニューバも可能となりました。

Su-27専用に開発されたAL-31Fターボファンエンジンは、アフターバーナー時123kNという強力な推力と優れた推力重量比を持ち、重い機体でも高い加速・上昇・旋回性能を発揮できました。これが高機動戦闘の基盤となりました。

  • 大容量の燃料搭載による長大な航続力

  • 高強度・軽量な機体構造

  • 多数の兵装搭載能力

  • 先進の操縦支援システム(自動水平復帰など)

これらが複合的にSu-27の「高機動・高性能・多用途」を実現しました。

スホーイは、従来の「迎撃機」思想から脱却し、空力設計、制御技術、エンジン開発の三位一体の大改革を断行しました。これは、国家的な要請と技術的なブレイクスルーが重なった結果です。特にFBWの導入とAL-31Fエンジンの成功が、設計思想そのものを根本から変革させる原動力となりました。

Su-27は、F-15イーグルに匹敵、あるいは凌駕する空中機動性能と長大な航続距離、強力な武装を兼ね備えた「世界有数の高機動戦闘機」として完成し、以降のスホーイ戦闘機(Su-30、Su-35、Su-57など)にもこの設計思想が継承されました。


スホーイがSu-27で突然運動性能を向上できたのは、「空力設計の革新」「FBW制御の導入」「新世代エンジンの開発」という複数の技術的ブレイクスルーを、国家的要請のもとで一気に実現したためです。これにより、従来の迎撃機から世界最高水準の高機動戦闘機への劇的な進化が達成されました。

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