2025年1月4日土曜日

アイザックアシモフ 第二ファウンデーション

アイザックアシモフのファウンデーションシリーズの3作目だ。1953年の作品だが、脳神経についての記述が非常に的を得ている。今よりさらに未来に検証されると思うが、2030年頃の人工知能研究のメインテーマについて述べていると私は感じた。

作品内の中心人物である数学者ハリセルダンの考え方はSFというより哲学に分類できる。人類が銀河系全域に進出できるくらい科学技術が発展しても、それはあくまで無機物(機械)を操る技術が発展したに過ぎない。それに比べて脳の中の意識や感情に関する知識は、猿から人になった頃からほとんど発展していないという指摘には思わず膝を叩いた。言葉をどんなに練っても自分の意思は正確に相手に伝えることはできないという主張は、オルテガが「大衆の反逆」内のフランス人のためのプロローグに述べた内容と同じだ。大規模言語モデルをどんなに規模拡大しても大した知能にはなれない理由のひとつもここにある。

第二ファウンデーション員は言葉を使わずに正確に意思を伝達できるようだ。それは生来の才能+訓練による努力の結果であるように描かれている。これができるようになった人類はハラリのホモデウス、富野のニュータイプということになるのだろう。第二ファウンデーション員の目的は安定した銀河系国家の実現だ。となると、富野のニュータイプによる社会は、第二ファウンデーション員の目指す社会と目標も実現方法も似ていることになる。

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