2020年3月のコロナショックのときには定石通りに二番底を確かめてから買いに行こうと思って待っていたが、株価がすばやく戻った後に二番底は永遠に来なかった。あれ?これまでの暴落と違うと思った。その理由を知りたいと思ってそれ以来考え続けている。
2020年以降も大きめの下落(高値から5%以上の下落)は何回か起こったが、いずれも1ヶ月程度で回復した。2020年以降は平成バブル崩壊やアジア通貨危機やドットコムバブル崩壊やリーマンショックや東日本大震災の後のような年単位の下落が起きない。なぜだ?
最近はこう思っている。このすぐに戻る理由は世界中の中央銀行が金融緩和をしすぎたからではないのか。金融緩和のせいでお金はとても余っている。余ったお金は投資先を求めている。不動産、暗号資産、商品(ゴールド含む)、株式、債券などの金融商品の間でぐるぐる回っている。ある金融商品が下落してそこからお金が逃げても、すぐに利回りが他より良さそうなところへお金は流れ込む。流れ込んだ先はすぐに飽和してお金を受け入れられなくなって、逃げ出したはずのお金は最初に下落した金融商品にすぐに戻ってくる。それくらいお金がたくさん余っているのだ。株式が下落して株式市場から資金が一時的に逃げ出しても、1ヶ月後には再び株式市場に資金は流入してきて株式は上げるのだ。他の不動産、暗号資産、商品、債券に資金を受け入れるだけの十分なキャパシティがないからだ。不動産も暗号資産も商品も価格は青天井で上昇できるので、理論的にはキャパシティなどないはずだ。ところが市場参加者の「いくらなんでもこれは高すぎる」という感情があるので、理論で説明できないキャパシティが存在する。
オプション価格が市場参加者の恐怖心で決まるのと同じようなもので、市場参加者の感情というのは経済理論で最も重要なパラメーターかもしれない。しかし感情を数値化する試みはブラックショールズ方程式のインプライドボラティリティ(IV)と、IVと似ているがあんまり算数が要らないVIX指数と日経VIくらいしかない。それらは取り引きの参考にはほとんど役に立っていない。コンピューター全盛の世の中なのに人間の相場師が存在し得るのは人間の感情を数値化できないことに理由がありそうだ。
この私の考えが間違っていて、株式が今の水準の半値以下になってそれが1年以上続く事態、すなわち過去にあった普通のバブル崩壊のようなことが再び起こるだろうか。そのときお金はどこへ行くのだろうか。どこへも行きようがないので現金とゴールドとして存在するはずだ。余った大量のお金がそこで長い間じっとしているなんてことがあるだろうか。それはあり得ない。なぜなら金融関係者にとって資金を現金やゴールドとして寝かしておくというのは、なぜかタブーになっているからだ。それをやると自分が働いていない、自分の存在意義がなくなると思うらしい。このタブーにとらわれていない金融関係者は世界でただひとり、ウォーレン・バフェット氏だけだ。
となると、もうすぐ起きそうな株式バブル崩壊はやはり1ヶ月程度で回復するのだろう。世界のお金を集めて燃やして(各国政府が国債を償還して)消し去らない限り、このお金余りの状況は続く。
バブル崩壊の影響が短期間で済むと分かっているのだったら、投資ではつぶれそうにない会社の株式を買って放っておいてよいと思う。もちろんよく考えて頻繁に売り買いした方がお金が増える可能性は大きい。他にしたいことがなければ頻繁に売り買いした方がよい。投資より大切なことがあってそちらに時間を使いたいなら、放っておく作戦でよいだろう。
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