本を読む前はr>gを数学的に導出していると思っていた。それならノーベル賞を受賞できるだろうと思った。しかし、r>gは経験的な観測結果だった。ピケティ自身も「これは論理的な結論じゃなくて実証的な結論である」と述べている。
直感的には銀行預金の何割かが企業の設備投資に使われること辺りを切り口にして、長沼伸一郎氏の著書「現代経済学の直感的方法」的な議論を展開すればr>gが導けるのではないかと思っていた。21世紀の資本を読む前は本の中でそのような議論がされることを期待していた。が、違った。
しかし、よくよく考えるとr>gの導出は絶望的だと思える。金融商品の価格決定にはどうしても人間心理の要素が入ってしまい、それを数値化するのは確率論を駆使しても難しい。ブラック・ショールズ方程式でもそこは避けて通っていて、IVを導入したものの結局は人間心理については何も結論できていない。経済活動は市場経済参加者70億人の心理がパラメータに含まれている複雑系だ。金融商品の価格変動は定常状態ではなく過渡状態の現象だ。複雑系において過渡状態のふるまいを計算するのは正攻法では不可能だろう。
おそらくかなりの数の経済学者がr>gの導出に挑戦したと思うが、未だに誰も成功していないところを見てもひどく難しいことがわかる。
それはともかく、r=4〜5%、g=1〜2%は歴史的事実なのでr>gという式を否定する気はない。
私は投資歴35年だが、ならすと毎年のrは0.3%となり極めてパフォーマンスが悪い。ときどき大きな損をしているのが平均パフォーマンスが悪い理由だ。これなら35年間ひたすら銀行預金をしていた方が資産は増えていた。投資家もたくさんいるのでそのパフォーマンスは確率分布で表さなくてはならない。r=4〜5%というのは期待値であり、中には私のような成績の悪い投資家もいるし、r=100%を達成するような投資家もいる。
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