2023年9月11日月曜日

巨大システム失敗の本質を読んで納得

原題は "WHY OUR SYSTEMS FAIL AND WHAT WE CAN DO ABOUT IT" で、著者はChris ClearfieldとAndras Tilcsikの二人。本の全体評価はアマゾンのレビューを見てもらうとして、私が本著でいちばん面白いと思ったのは134ページの意地悪な環境の章だ。

意地悪な環境というのは、自分が行った予測や決定がどれだけ正確だったか確認することが難しい環境のことだ。親切な環境とはその逆だ。

親切な環境にいる人として本著では料理人やチェスプレイヤーや気象専門家を挙げている。料理人は自分が作った料理を味見することができる。チェスプレイヤーは勝敗を知ることができる。気象の専門家は自分の予想の答え合わせができる。親切な環境にいる人はフィードバックを受けて学ぶことができるので、長くやっているとスキルが身につく。

意地悪な環境にいる人の例としては出入国審査官や警察官を挙げている。彼らは自分の仕事の答え合わせができないので、長くやってもスキルは上達しない。出入国審査官がパスポートの写真照合で別人を通す確率、警察官の嘘検知能力は訓練を受けていない学生と大差ないという実験結果が得られている。出入国審査官は答え合わせができないのは仕方ないと思うが、警察官は単に後で確かめる努力を怠ったからだと思うので、クズ警察官に出会ったら思いっきり蔑んでよい。判事も後で結果を確かめない職業として挙げられている。

失敗を認めないあるいは認められない人は成長することなく同じ失敗を繰り返す。それは本ブログで何度も取り上げた書籍失敗の本質でも述べられている。

私は普通の人より年間の失敗回数が多い。そしてその多い失敗回数(失敗内容は毎回違う)を維持したまま、物心ついてから60年超を経験した。いくら私の学習能力が低くても、この環境なら賢くなるのは当たり前だ。これでバカだったらそちらの方が不思議だ。

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