2022年12月31日土曜日

円安圧力が2022年だけで終わる可能性はどれくらいあるか

2022年は原油高と円安で貿易赤字が20兆円近くに達し、日本経済はお先真っ暗だとの論調が目立った。ところが、冷静に分析した記事(野地 慎:SMBC日興証券)を読むと崖っぷちではあるものの、転がり落ちるのは必至とは言えないことが分かる。

記事によると貿易赤字は17.9兆円とここ10年ではとびぬけて大きいが、それはほとんど原油高と円安のせいである。

2022年は、114.12ドル/バレル&ドル/円134.15円で17.9兆円の赤字。
これが80ドル/バレル&ドル/円130円なら11.7兆円の赤字で済み、
70ドル/バレル&ドル/円120円なら6.5兆円の赤字で済む。

日本は対外投資の配当金などの黒字が年間10兆円ある。これが貿易赤字を相殺してドル円の実需フローが決まる。2022年は貿易赤字17.9兆円に対し対外投資の黒字が10兆円あったから、約8兆円分のドルが不足した。不足分は円を売ってドルを買わないといけないから、円安圧力になった。ドルが不足しなければ円安圧力は減衰する。来年以降はどうだろうか。

12/31現在の原油とドル円は81ドル/バレル&ドル円131円である。この水準なら貿易赤字は約12兆円で済むことになり、対外投資の黒字10兆円と相殺すると、2兆円分ドルが足りない。その分は円を売ってドルを買うことになり、これが円安圧力になる。2022年のドル円実需フローはマイナス8兆円だったから、強い円安圧力が生じた。これが来年以降はマイナス2兆円まで減るとすれば、今年ほどの強い円安圧力は生じない。

崖っぷちでなんとか踏みとどまれる水準ではある。だが、これで安心して何もしないとか、経済を減速させるような間違った政策をとるとかしてしまえば、そのまま崖から転がり落ちる。政府の責任は重大であるが、彼らの面子を見渡すと残念ながら何も期待できない。やはり20年後にドル/円は200円になっているという予想は間違いないようだ。

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