2022年12月8日木曜日

インフレ率2%が継続すると日本はもつのか

まず日本の今後のインフレ率が2%のままなのか考えてみたが、この部分は重要ではないので急ぐ人は飛ばしてよい。結論はインフレ率2%が今後も続くだ。

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昨日の円安目途の計算では、7年後にドル円が170円になると予想できた。年率では2%ずつ円安になることになる。つまり輸入品は相手国での価格が変わらなくても毎年2%ずつ値上がりする。実際は相手国でも物価は上がっているので、輸入品の価格は円安の影響である2%よりも上がる。日本の主な貿易国である米国のインフレ率は8%、中国は2%台だ。これらをまとめて5%で近似すると、輸入品の価格は1.05×1.02=1.071で毎年7%上昇することになる。
対して日本国内で生産するものの価格はどうか。日本の労働者の給与は上がらないと予想できるので、これによるコストアップはない。日本国内で原料が生産できるものの価格も上がらない。しかし、農作物でさえ生産するのに石油や輸入肥料を使う。輸送するのにも石油を使う。したがって輸入品価格の7%ほどではないにしても、ある程度の価格上昇は起こる。これに関するデータはないのだが、おそらく1%弱だろう。これは後述する日本のトータルのインフレ率2%からの逆計算による。
2022年の日本の輸入品も国産品も合わせたトータルのインフレ率はIMFの推定では2%になる。家計簿を見ると去年より3%くらい支出が増えているのでIMFの推定値2%は見積りが甘いのじゃないかと思うが、ここでは2%としておこう。この2%はこの先どのように変動するのか。米国のインフレ率は既にピークアウトしたのでもう8%は超えないが、急に減る様子もない。7~8%がしばらく続く。中国のインフレ率はここ5年くらいは2%台で大きな変動はないのでこの先も同じだろう。だとすると、日本のトータルのインフレ率は2%からこの先大きく変動することはないだろう。
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それではインフレ率2%でこれから我々は暮らしていけるだろうか。我が家の家計をモデルにして計算してみよう。富裕層であるお前のところの家計なんて参考になるものかと思われるかもしれないが、計算を見てもらえば分かるが我が家は質素な暮らしをしているので、十分に参考になると思う。

我が家の毎月の支出は25万円だ。そのうち14万円が固定資産税などの税金だ。残りの11万円で住居費や食費や光熱費や通信費や医療費をまかなっている。東京都の生活保護家庭がもらえる金額が2人世帯で毎月14万円だ。生活保護だと税金や医療費は免除されるから、我が家は生活保護家庭より質素な暮らしをしていることになる。我が家は持ち家で住居費が3万円で済むが、生活保護家庭は賃貸なので住居費が東京では7万円はかかる分を加味すると、両者の暮らし向きはほぼ同じはずだ。生活保護家庭は税金と医療費以外にもいろいろ特典があるので、意外と我が家より暮らし向きは良いかもしれない。ただし、子供がいたら生活保護の給付では足りないだろう。

それはともかく、最低限の暮らしでの支出が生活保護家庭と同じ14万円と仮定してインフレ率2%が続いたらどうなるかを計算してみる。計算は簡単で毎年1.02をかけ続けていくだけだ。

  5年後 ¥154,571
10年後 ¥170,659
15年後 ¥188,422
20年後 ¥208,033
25年後 ¥229,685
30年後 ¥253,591
35年後 ¥279,985
40年後 ¥309,126

生活保護レベルの暮らしをするのにも、毎月これだけのお金が必要になる。普通の労働者の収入で足りるだろうか。今後は高齢者の数がさらに増えて、社会保障費(医療と年金と生活保護)が増えるのだが、それらの増加分を現役労働者は支払えるだろうか。

日本のインフレ率2%の計算をするのに「日本の労働者の給与は上がらない」と仮定した。つまり日本の世帯収入は40年経っても今と同じとした。それは平均で552万円、中央値では437万円だ。552万円としても手取りは425万円、それを12で割ると毎月35.4万円だ。35.4万円あれば40年後でも夫婦二人なら最低限の生活(309126円かかる)はできそうだが、子育てはほぼ不可能だ。そして40年後には税金と社会保障費の徴収が増えているから手取りは425万円よりも減る。おそらく300万円を切るだろう。そうなるととても暮らしていけない。生活保護が必要だ。しかし国民の大多数が生活保護を受けることになったら、その生活保護のお金はいったいどこから取ってくるのだろうか。富裕層から?富裕層は135万世帯いるが、彼らが全力でお金を出しても足りるかどうか。しかもお金を出してくれる富裕層なんてほんの一握りで、多くの富裕層は嫌気がさして海外へ移住するだろう。

日本はいったい何をどこで間違えたのか。今から修正するとして何をどうすればよいのか。よく考えてみた方がいい。

40年後には死んでいる高齢者は未来のことなど知ったことかと、今後も金をせびり続けるだろう。その金は行かなくてもいい病院の医療費に消える。コロナ禍の期間、高齢者の死亡者数が減ったが、その理由が「コロナを怖れて病院に行かなくなったので無駄な医療と投薬を受けることがなくなり、高齢者が健康になったから」だ。高齢者を甘やかしても何の意味もない。日本人は思考停止から脱して、そろそろまともに頭を使って何をすべきか考えてはどうか。

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