テレビをつけたら偶然チャンネルが放送大学になっていて、1923年に仁科博士がコペンハーゲンのニールスボーア研究所に留学したと言ってた。何の話だろうと見続けたら、仁科博士が5年半後に日本に帰ってきて理化学研究所で若手研究者と数式の書かれた黒板の前で活発に議論している動画が見られた。90年前の動画が見られたのも感動したが、黒板の数式が量子力学の式であることに感動した。式について活発に議論しているということは、式の意味を理解して式の示す素粒子のふるまいについてイメージできているということだ。こんな人たちが90年も前に居たとは。1937年には日本初のサイクロトロンを製作した。1941年に日米が開戦して軍事研究以外はできなくなった。戦争にじゃまされ、戦後はGHQに理研の建物とサイクロトロンを破壊されながらも研究は進み、1949年に湯川博士がノーベル物理学賞を受賞、1965年には朝永博士がノーベル物理学賞を受賞した。戦争がなければ、もっと早く研究が進んでいただろう。
21世紀になって1920年代の人たちより早く研究できているかというと、そうではないように感じる。1969年に月へ行った人が居たが、今はいない。1970年代の自動車と2020年の自動車はさほど違いはない。1974年に初飛行したF-16はキャノンでドッグファイトをしたらF-35より強い。1970年代はディスプレイの前でキーボードを叩いている時間が長かったが、2021年になってもそれは同じだ。なんだか進歩がひどく遅くなっているように感じる。以前、巨人の肩に乗るのが難しくなっていると書いたが、ますますそれが正しいように思えてくる。
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