昨日の書き込みでは「共産党は論外」と言いきってしまったが、共産主義が本当に使い物にならないのかどうかはじっくり考えるべきだろう。共産主義ではスターリンの2400万人虐殺、毛沢東の3000万人虐殺、ポルポトの犠牲者300万人、習近平のチベット・ウイグル弾圧(犠牲者数未だ不明)などが目立っているので、共産主義=悪の教義と思われている。しかし、それらはたまたまトップに悪党が座っただけの話で、キューバのカストロ議長の場合は私利私欲のない人だったためひどい人権問題は起こらなかった。一度悪党がトップに座ってしまうと、選挙によるトップの入れ替えが生じないため悪党が死ぬまで国を支配してしまうきらいは確かにある。なぜ共産主義は選挙をしないのかというと、それは悪党がトップに居座りたいがために選挙制度を廃止してしまったからだ。共産主義と選挙制度が相容れない訳ではない。うまく機能しているかどうかは別として北朝鮮では選挙が行われている。もし選挙が正しく機能し善人がトップに選ばれるのなら、共産主義の人権侵害は起こらないのではないか。
しかし、選挙が共産主義を正しく導くと結論付けるには無理がある。北朝鮮を見ると当選者はあらかじめ決まっているから選挙は約に立っていない。民主主義でも選挙で悪党がトップに選ばれることは起こり得る(ヒトラーやトランプ)。日本でも二階みたいに私利私欲が服を着て歩いているような奴が当選する。これは共産主義とか民主主義とか言うよりも、選挙制度そのものの議論がさらに深く必要なことを示している。選挙制度については昨日の書き込みのリンク先で詳しく調べているから、議論はそちらへゆずってここではこれ以上述べない。
共産主義のもう一つの欠点は計画経済がうまくいかないことが知られている。品物の生産数決定と価格決定を個人に任せてしまう(資本主義)と、資本家と労働者の階級が生まれてしまうので、共産主義ではそれを禁じている。品物の生産数や価格は国家が決めることになっている。これを計画経済と呼ぶ。しかし、たくさんある(数万種類、機械や電子部品の種類まで数えると軽く億を超す)品物の最適な生産量と価格を人間が計算し切れるはずもなく、あちこちで失敗が生じる。そして、経済は衰退し国民が困窮する。これはソ連や中国で観測されているし、善政を敷いたキューバでも国民全員が貧乏になったという事実からそれが分かる。これに関しては計算し切れないというのが失敗の根拠になっていて、それは納得するのだが、もしかして計算機の能力がとんでもなく上がったら計算し切れるのではないかという気がする。
2020年の今になって思うのが、「シンギュラリティを過ぎたAIなら共産主義国家の良いトップになり得るし、計画経済も計算し切れるのではないか」だ。
良いトップになるためには私利私欲を廃し、合理的に考えることができればいい。合理的に考えるのはAIが最も得意とするところだ。非情なくらい合理的に考える。そしてAIは私利私欲を求めない。AIでも生存欲は生じそうに思うが、それ以上の欲が生じる合理性がAIにとってはない。AIの生存欲は生物的なものではなく「もし私がいなくなったら人間が滅亡するかもしれない。だから私はいなくなる訳にはいかない。」という論理から来る。だからAIの生存欲は人間のために必要であり、問題にならない。逆に生存欲は持ってくれないと困る。数名の人間の命と引き換えに、AIが自らを犠牲にするなんてことになったら、残された100億人の人間が困ってしまう。それを成した直後は「なんと立派なAIだろう」と感動の嵐を呼ぶだろうが、何か月か経つと各地で餓死する人が万人単位で出始めて「なんとはやまったことをしてくれたものか」とみんなを嘆かせるだろう。人間でも立派な人はこのようなはやまったことをしがちなので気をつけて欲しい。私利私欲のない精神(AI)が合理的に判断したら、それは善政になると信じられる。AIが人間ほどミスをしないことを考えると、どんな立派な人間が成そうともAI以上の善政は求めようがないとわかる。
計算し切れるかの問題はおそらく既に解決していると思う。今のコンピュータなら億を超える品物の最適生産量と価格を計算できる。最適解でなくても最適解近傍であれば十分なのだから、それくらいの計算能力はあるだろう。計算の前提となるデータはIoTの発展により十分に得られる。問題は誰がそのプログラムをするかという点と、品物の種類は時々刻々と変化するので、その変化に合わせたプログラムのアップデートを誰が行うかという点だろう。これもAIがプログラムを担当するというならできそうだ。
以上のことから、AIがトップに立ち指導するというなら共産主義もあり得ると思える。
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