プログラムを始めたのはZ80で、それから逆に古いマシンを扱うようになって6800,6502,8080なんかをいじってから6809にたどり着いた。6809は命令が簡単で美しいのに性能がZ80より良くて感激した。その後NECのPC-9801が出たのでしばらく8086を使っていたが、6809に比べて命令が美しくない上に、バカげたアドレッシングモードを採用していたので嫌気がさしていた。80286になってプロテクトモードなる使い物にならないモードを導入したのにあきれ果ててIntelを使うのを止めた。6809の正当な後継である68000の合理的な命令セットに惚れ込んでモトローラ以外は使う気がなくなった。Macintoshが68000を採用してくれたので、Macintoshのファンになった。68000が発売されてから3年後の1983年にARMが出たらしいのだが、私はパソコンばかりいじっていたので、組み込み用途のARMのことは全然知らなかった。その後私も組み込み用途の機械を設計することはあったのだが、組み込み用途にはテキサスインスツルメンツのDSPがハーバードアーキテクチャで合理的な命令セットだったのでそればかり使っていた。
しかし、世の中は不思議なもので合理性に劣るIntelのCPUがパソコン用には流行ってしまった。MacはPowerPCまでは非Intel路線でがんばったが、ついにあきらめて2005年からはIntelのCPUを使うようになってしまった。AMDとかCyrixとかは存在したが、しょせんx86アーキテクチャなのでIntelと似たかよったかだった。美しくない命令セットが幅を利かせるのはどうにも納得できんと思っていたが、先月AppleがARMベースのM1チップ搭載Macを発売してくれた。圧倒的な性能だ。どのパソコン雑誌もベタ褒めの状態だ。安くて電気を食わないのにIntelのCPUより速い。驚いてARMのアーキテクチャを調べてみたら、68000ほどのエレガントさはなかった。これではあんまりARMでプログラミングしたいとは思わない。しかしIntelの美しくないアーキテクチャを叩きのめしてくれたのは喜ばしい。このままAppleのSoCが世界を席巻すればいいと思う。
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