2020年11月26日木曜日

そしてドイツは理想を見失った

 川口マーン惠美さんの著書。川口さんは38年間ドイツに住んでいて、ドイツ政治に関する著作をいくつか書いている作家だ。これまでアメリカの政治は興味があって調べるようにしていたが、ドイツのことは何も知らなかった。アメリカの株式は持っているが、ドイツの株式は持っていないからだ。本書を読んでドイツのことが少しわかった気がした。ドイツは親中だが、それを頭がおかしいんじゃないかと思っていた。しかし、ドイツが親中になったのは19世紀からの伝統で中国が共産化する前からだった。中国が共産化してからも親中なのはどうかと思うが、昔から輸出のかなりの割合を対中国が占めているので付き合いをやめられないようだ。そしてドイツの政治はけっこうひどく、日本と同じくらいデタラメがまかり通っていて、国民がどんどん不幸になっているのも日本と同じだ。救いと言えば、まともなことを言う野党がいることだ。日本の無能な野党と違い、ドイツの野党はちゃんと建設的な意見を言う。また若者が建設的な意見を言う野党を支持し、党員になったり政治家になったりするのもうらやましい。そのような若者が将来政権を担うようになれば、ドイツの政治は救われる可能性がある。

ドイツのマスメディアに関する記述も興味深かった。ドイツのマスメディアは現政権に忖度した報道しかしない。日本のマスメディアよりひどいかもしれない。こんなメディアに洗脳されたとしたら、ヒトラーが選挙で選ばれて政権をとったこともうなずけるというものだ。日本のマスメディアも相当に報道が歪んでいるが、現政権の批判を堂々と書けるという点ではドイツよりマシだと思う。

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