2020年11月18日水曜日

日本軍が降伏しない理由

 旧日本軍は降伏を嫌った。「生きて虜囚の辱めを受けず」と言い放ち、自滅攻撃をかけるか自決した。

降伏して捕虜になれば、敵軍は兵隊の一部を捕虜管理につけねばならないので敵の戦力を削げる。また、捕虜交換などで自軍に戻ることがあれば再び戦える。なので、捕虜になることは自軍の利益になることであり、それを禁ずるとはなんと愚かな行為だろうかとずっと思っていた。ところが、これには理由があったようなのだ。

第二次大戦で日本の戦死者数は212万人(民間人含まず)、このうち餓死者が140万人なので、実際に戦闘で死亡した者は72万人。これに含まれない死者数が、ソ連の捕虜になった後に殺された30万人とシベリアに抑留された76万人中死亡した55万人だ。すなわちソ連の捕虜になった後に殺された人数は30万人+55万人=85万人。これは第二次大戦の戦闘で死亡した72万人より多い。ソ連の捕虜になるくらいなら死んだ方がマシというのが事実だった。第二次大戦の直前の戦争は日露戦争だから、それから学んだとすれば捕虜になるなと命令するのは合理的だった。「露助の捕虜にはなるな、米軍の捕虜にはなれ」と命じた方が良かった(実際ドイツはそうしていた)のだが、あちこちに移動する兵士の気持ちの切り替えを考えるとそれは難しかったのかもしれない。

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