2020年11月11日水曜日

税金の無駄がなくならない理由

 昨年度の税金の無駄は297億円にのぼると報道された。報道の中でも述べられているように、これは氷山の一角に過ぎない。日本だけでなく世界の歴史をひもとくに、税金の無駄がなくなったためしはない。こうなるとけしからんと思うより、なんでこうなるの?と考えた方が建設的だ。

歴史上最大の税金(の形態の召し上げ金)の無駄は、ソ連の共産主義のときに起こった。ソ連が崩壊した後、経済学者はなぜ共産主義がうまくいかなかったかを解き明かした。それは社会のいろいろなモノの値段や生産高を決めるのに、共産党上層部だけでは人数が足りなかったからと結論付けた。何をいくら作って、それをいくらで売れば良いか(ソ連はこれを計画経済と呼んだ)は数人の頭で考えるには複雑すぎて失敗するというのだ。事実失敗してソ連は滅んだ。資本主義ではモノの値段は生産者や商人の都合で決まるのだが、各人が欲をかくことでその調停は意外にうまくいって、結果として経済はうまく回る。誰かは忘れたが、これと同じことが有名な経済学者の著書にもう少しむずかしく書いてある。

で、日本の話だが税金の使い道は官僚が決めている。ある分野の税金の使い道を決める官僚の数は高々数十人。そう、ソ連と同じだ。考える人の頭数が少なすぎるのだ。これでは無駄なく税金を使えるはずもない。無駄遣いは起きるべくして起きているということだ。

じゃあどうすればよいかというと、まだ答はない。ヒントになる考え方はいくつか提案されているが確実なものはない。これは今後の経済学者の頭の使いどころになるはずだ。

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