2020年11月6日金曜日

農耕が格差を生み出した

どうも体調、特に脳の具合が悪い。医者に行ったが、何度診察を受けても、いろんな薬をもらっても改善しない。仕方ないので自分で治そうと本をいろいろ読んだ。その中で鈴木祐という人の著書「最高の体調」という本が参考になった。本に書いてあることを試すと、徐々に体調が上向いてきた。

「最高の体調」の中に、狩猟民族の方が農耕民族より精神も肉体も健康である旨の記述があった。麦ばっかり食べるより、肉と木の実を食べた方が必要なミネラルやビタミンが取れるのだから当たり前だ。また、精神のストレスも狩猟民族の方が少ないのだそうだ。狩猟民族は明日より先の未来のことを考えないのだそうだ。考えても仕方がないからだ。農耕民族は植えつけから収穫まで何か月もかかるから、遠い未来のことを考えてストレスに感じてしまうのだそうだ。そしてストレスは精神を病ませる。

狩猟民族であるアフリカの人に聞いた話が興味深い。彼らは獲物を部族の中で平等に分けるのだ。狩猟民族には格差がないのだ。そういえば別の本で読んだことがある。やはりアフリカの人の話だが、狩りのときに活躍した若者を長老が「お前は全然活躍していない」とけなすのがしきたりなのだそうだ。おそらくそうしなければ、力の強い者が獲物を多く取って平等ではなくなるからだろう。狩猟民族は平等を是とするのだ。それは彼らが道徳心があるからではない。進化の過程で自然にそうなったのだ。

力の強い者が獲物を独り占めにするようなグループだって昔はあっただろう。しかし、長い時間で見ると一部の者が獲物を占有するグループと、平等に分けたグループでは、後者の方が生き延びる可能性が高かった。力の強いものだけが良い食事をすると、その連中だけは強い力を発揮するが、残りの人は戦力にならない。平等に食事をしたグループは全員が戦力になる。グループでの総戦力は平等に食事をした方が高くなる。したがって生き残る。長い時間が経って生き残ったグループだけを見れば平等で格差のない社会ができていたという訳だ。なんと素晴らしい。

2万年前に農耕が発明された。麦を育てるようになった。食糧を貯めこんでおけるようになった。そこで初めて人類に格差が生まれた。農耕が格差の原因になったという書籍はいくつか読んだ。ハラリ氏のサピエンス全史にも書いてあった気がする(記憶があいまいだが)。農耕の生産物は貯めこんでおけるのが特徴だ。しかし貯めこんでしまうと、それを奪おうと攻めてくる連中が出てきてしまう。農耕民族は襲われると自衛しなければいけない。それにはたくさんの人数が集まった方がいい。そして自衛の専門家つまり軍隊を持った方が効率がいい。軍隊ができたら指揮する人がいないと強くなれない。そうやって、命令する側と命令される側というグループができた。命令する側は自分で畑を耕すより、だれか自分より弱いものを見つけてきてそいつに命令して畑を耕させる方が楽なことにも気づいた。そうして王様と軍隊と農民という階級ができた。格差の始まりだ。農耕が始まったのは西アジアの辺りだが、あの辺りでは紀元前何世紀もの昔からちゃんとした軍隊による戦争が起こっていた。

狩猟民族は狩りで生肉を得るが、生肉なのですぐに食べないと腐ってしまう。貯めこめないので、襲われる心配がない。襲う方にしても襲ったって疲れるだけで得るものはないのだから、襲うはずもない。西アジアの連中が戦争に明け暮れていた時代も、日本列島は狩りと木の実拾いで暮らしていた。平和な時代だった。これを縄文時代という。

農耕は食糧の余裕を生み出して、人類の人口が増える原動力になったが、同時に戦争と格差を生み出した。人類の人口が増えた結果、温暖化ガスが増えて地球生物の絶滅も促進している。こうしてみると農耕を発明したのは失敗だったようだ。アフリカ人、日本の縄文人、アメリカ大陸のネイティブアメリカンみたいな暮らしが続いていたら、地球は平和だった。アメリカ大陸も南アメリカはちょっと違っていて、南アメリカの文明であるインカ文明とかマヤ文明は独自に農耕を発見していた。したがって格差もあったし、戦争もあった。

農耕は人類を滅亡させる麻薬だったようだ。人類が狩猟民族に戻れば、地球は救われるのにと思う。熊やライオンに襲われて死ぬかもしれないが、そのときはそのときだ。


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