2019年8月22日木曜日

小脳の顆粒細胞がリザバーだって?

リザバーコンピューティングの研究をしているが,リザバーってニューラルネットワークの研究では亜流,息抜きだと思っていた.リザバーの研究が一段落したら本流の研究に戻ろうと思っていた.ところが、なにげに読んでいた人工知能学会の記事で小脳の顆粒細胞がリザバーではないかという仮説が提言されていた.山﨑匡さんの論文だ.
小脳は脳全体の15%の重量しか持たないが,脳全体の80%の神経細胞は小脳にある.そして小脳の神経細胞のほとんどが顆粒細胞というとても小さな細胞だ.これまで,なぜこんなに顆粒細胞の数が多い(約800億個)のか分からなかった.顆粒細胞へは入力信号が苔状線維(繊維ではない)によって入力される.顆粒細胞の出力は平行線維を通ってゴルジ細胞へ伝わる.ゴルジ細胞の出力は顆粒細胞に入力される.つまり顆粒細胞とゴルジ細胞でリカレントニューラルネットワークを構成している.このリカレントニューラルネットワークがリザバーだというのだ.このリザバーは,苔状線維から入力される信号を高次元空間に変換している.このリザバーの状態は平行線維に保持されている.リザバーの出力はプルキンエ細胞が担う.平行線維の信号はプルキンエ細胞へ入力される.小脳へのもうひとつの入力である登上線維と平行線維がからんでプルキンエ細胞への入力を制御する.登上線維と平行線維の結合強度をヘブ則で学習することが,リザバー出力重みを学習することに相当する.なるほど筋は通っている.小脳がリザバーだとしたら,やたら顆粒細胞の数が多いのも納得がいく.
この仮説が本当なら,リザバーコンピューティングこそニューラルネットワークの本流だと言える.リザバーに本腰をいれなくては.ちょっとわくわくしてきた.

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