家計調査・消費支出が9ヶ月連続マイナスとなった。名目消費支出も実質消費支出もマイナスである。ものを買わなくなったということだ。現在の日本は預金金利よりもインフレ率の方が高い。合理的に考える消費者ならば、お金の価値が減る前に品物に取り替えておこうとするはずだが、現実はそうではない。
19世紀にアダム・スミスが、1936年にケインズが、人間が合理的ではないことを観察として言及していた。1950年代にはモーリス・アレ、 ハーバート・サイモンが学説として発表した。サイモンは1978年にノーベル賞を受賞している。しかしまだ経済学の主流の考え方ではなかった。
ダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーが1974年に、判断を系統的に歪める「ヒューリスティクスとバイアス」を発表した。1979年には有名なプロスペクト理論を発表した。カーネマンは2002年にノーベル賞を受賞した。この後、人間は合理的に行動するわけではないという考え方が主流派になった。
古い教科書で勉強した年寄りの経済学者が失敗を繰り返すのは、人間は合理的な行動をするという古い誤った考え方をしているからだ。
経済学に限らず、物事を分析し判断する力は若い人ほど優れている。ごく稀に年寄りで優秀な人がいるが、彼の脳の中では古い考え方の重要度が低く保たれている。しかしこれができるには脳の可塑性が特殊である必要があって、とても珍しい。普通の生物は若いときの脳の可塑性は高いが、年をとると可塑性は低くなる。数億年間はこの方が生き延びやすかったから進化の結果としてこうなっている。子犬にはトイレトレーニングができるが、成犬には難しいのはこの理由からだ。
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