今の日経平均7万円はAI半導体銘柄が牽引していることが理由だ。これは日本経済の好調不調とは関係ない。ブームで上がっているだけだ。AIブームが訪れる前に日経平均は5万円を達成していた。この時は日本経済は冴えないのに株価が上がるという状況だった。これを不思議に思う人が多い。
答はシンプルで「通貨の価値が下がったから」だ。通貨の価値が下がったから食品の価格は上がった。日用品の価格も上がった。電気製品の価格も上がった。住宅の価格も上がった。ほぼ全ての商品の価格が上がった。株式も証券会社で売っている商品である。当然上がる。この現象は世界共通である。トルコは通貨下落が著しく、ここ10年で通貨の価値は1/8に下落した。つまり物価が8倍になった。同時にトルコの株価指数であるイスタンブール100種指数(日本の日経平均に相当)は8倍になった。物価が8倍になったら株価も8倍になった。とても整合している。この整合はとんでもない状況にも当てはまる。第一次大戦後のドイツは物価が1兆倍になるハイパーインフレにみまわれた。通貨の価値は1兆分の1に下がった。子供が札束をおもちゃにしている写真が有名だろう。そのとき、ドイツの株価は2兆倍になっていたのだ。パンの価格が上がれば株式の価格も上がるのは世界共通だ。
円の価値が下がった理由は、お金をたくさんばら撒こうと努力して実際にばら撒いたからだ。2010年に比べると社会に出回っているお金の量は1.5倍に増えている。社会で暮らす人の数は変わらないし、品物の数も変わっていない。お金の量だけが1.5倍に増えた。そうなればお金の価値が1.5分の1に減るのは当たり前だ。小学生でもわかる算数である。2010年に比べて今の物価は1.5倍になっているはずだ。それが1.3倍くらいで済んでいることの方が実は異常なことなのだ。
じゃあどうすればよかったのか。これは答が複数ある。どれがいちばんの正解と決めることはできない。これらの答を導き出すには小学生の算数では足りず、経済学の博士レベルでも足りない。異分野(社会学や文化心理学つまり人文学とか物理学や数学つまり理学)の博士号を経済学の博士号と同時に持っていないと解決できない問題である。チャレンジしがいのある難問と言える。
日本は複数あった答のどれにも辿り着けなかった。その理由を考えると面白いのでぜひやってほしい。短絡的な勘違いをしないようにヒントを述べておこう。アベノミクスが発端ではない。20世紀末に理由が生じていた。突き詰めて理由を遡ると江戸時代まで遡れる。そこから少しずつ間違いの種子がばらまかれていた。間違いの種子は発芽した直後は大して悪さはしない。大きく育つにつれて悪影響が社会全体を蝕んでゆく。大きく育ったとしても直す機会はあった。でも「間違いを直さない」のがほとんどの日本人が持つ性質なので直さなかった。最初に直すべきは「間違いを直さない」性質だった。しかし決して自分からは直さないのが性質なのだから、日本人のこの性質は永遠に直ることはない。政治家も官僚も国民もみんな間違いを認めず直さないのだから仲良く没落するのは仕方のないことだ。仲間同志でケンカしない方がいい。
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