2026年3月12日、AMD・Broadcom・Meta・Microsoft・NVIDIA・OpenAI の6社が AIクラスター向けの光インターコネクト(OCI)仕様を策定する新コンソーシアムOCI-MSAの設立を発表した。スコープはサーバーラック内外の高速リンクにおいて、銅線の代わりに光ファイバーで信号を伝送する物理層(PHY)の共通オープン仕様で、オンボード光学・Co-Packaged Opticsの全面採用を前提としたシリコン中心アーキテクチャを志向している。
IOWN は4段階計画で、APN (All Photonics Network)は提供済み、以降はPEC(光電融合)を用いて光技術をボード間(PEC-2)、パッケージ間(PEC-3)、パッケージ内部(PEC-4)に適用していく。
OCI-MSA がターゲットとするのはPEC-2/PEC-3 のスケールアップドメインの物理層で、IOWN ロードマップのコンピューティング側展開と重なる一方、長距離 APNとは競合しない。つまり脅威は IOWN のコンピューティング側の部分に限定されるが、ちょうどNTT が 2026年度に光電融合スイッチの商用化を始め、本格的に光電融合デバイスメーカーを目指す方向性を鮮明にした タイミングと重なるため、影響は決して小さくない。
しかし悲観してはいけない。やりようはある。IOWN と OCI-MSA は 正面衝突ではなくレイヤ分業に向かう可能性がある。APN・データセントリック・ユースケース層は IOWN、コンピュート内 PHY は OCI-MSA、という棲み分けに向かう形だ。NTTの光電融合デバイス自体は OCI-MSA 仕様に準拠する形で売れる。つまりデバイス事業者としては OCI-MSA 規格に乗ることで逆に市場が広がる。
市場規模は2035年まではAPNの方が大きいので、収益面でも当面は悲観する必要はない。PEC-2/3/4の方が最終的には爆発的に市場が伸びるので、そこにメインで関われないのは商業的には残念ではある。また、PEC-3/4で用いるレーザー発振装置はNTTのメンブレンレーザが世界で最も進んでいる。ここをOCI-MSA規格で使うように持っていく交渉が今後のNTTの最重要課題である。
NTTの戦略としては光源デバイス + APN 出口の垂直スライスを確保しつつ、その上下(ASIC、パッケージング、DSP)は全部 OCI-MSA 系企業に任せて準拠する、というのが現実的だ。これまで通りのIOWNで垂直統合する野心を持ち続けると、PEC-2/3 段階で TSMC・Broadcom・NVIDIA の標準に飲み込まれて、せっかくのメンブレンレーザの優位性も Lumentum/Coherent の外部 CW レーザにコモディティ化されて終わる。
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