元はヴァイキング・サンという船でヴァイキングクルーズ社が保有していた。同型艦は16隻存在し、今も増え続けている。この船を香港の歴史ある船会社である招商局集団が買い取った。ヴァイキングクルーズ社との合弁事業の形で2021年に運行を始めた。ところが930名定員に対し、平均600名の乗客しか集まらず、赤字が続いた。2026年には船をヴァイキングクルーズ社に買い戻してもらい、合弁事業も解消して元に戻った。ただし船名だけは、今もヴァイキング・エデンのままである。
事業失敗の原因は中国の消費者嗜好と船のコンセプトの根本的なズレである。中国の消費者は家族向けクルーズと、デスティネーション(寄港地)に焦点を当てた短い旅程に関心がある。実際、MSCクルーズとロイヤル・カリビアン・インターナショナルは大規模な娯楽設備を備えたメガクルーズ船で中国市場への参入に成功している。思考する人のためのクルーズ(the thinking person's cruise) を標榜するヴァイキング流の、こぢんまりとした寄港地重視・成人専用・落ち着いた高級リゾート型船では、中国の消費者に選ばれなかった。実際、930名の定員に対し、82名しか乗らなかったこともある。
ヴァイキングクルーズ社に戻った後の、ヴァイキング・エデンに乗ってみたが、よい船だと思った。なぜだか相変わらず乗客は少なく、サービスの質を表すサービスレシオ(乗客数/乗員数)が1.0以下だった(この数値は小さいほど良いとされ、ラグジュアリー船では1.2、カジュアル船では3.0が標準値)。そのため、スタッフのホスピタリティがとてもよく、船室に専任バトラーがついている超高級船と比べても遜色のないサービスが受けられた。
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