「中国のGDP算出の疑問を解消して。国営の土地を民間に払い出した売上をGDPに入れているのではないか。そうだとしたら、真のGDPはどれくらいと考えるべきか。」
をGemini君に聞いてみたら、以下の回答を得た。納得した。
---
結論から言うと、国営の土地の「売上」そのものは、原則としてGDPには含まれません。
GDP(国内総生産)は、「国内で一定期間に生み出された新しい付加価値(モノやサービス)」の合計です。
土地は(基本的に)「新しく生産されたもの」ではなく、「既存の資産」と見なされます。そのため、土地の所有権が国から民間に移転する(売買される)こと自体は、新しい価値を生み出していないため、GDPには計上されません。これは国際的なGDP算出基準(SNA)に基づく考え方です。
土地売却がGDPに与える「間接的な」影響
ただし、ご指摘の疑問は、中国経済の非常に重要な問題を突いています。土地の「売上」自体はGDPでなくても、その土地の上で行われる活動や、売却によって得られた資金の使い道はGDPに大きく影響します。
建設投資(これが本丸です)
民間企業が払い下げを受けた土地に工場やマンション、商業施設を建設した場合、その建設活動(建物や構造物)は「総固定資本形成(投資)」としてGDPに含まれます。中国のGDPに占める「投資」の割合が極めて高いのは、この不動産開発が非常に活発だからです。
公共投資
地方政府が土地の売却(使用権の譲渡)によって得た巨額の収入を使い、道路、橋、鉄道などの公共インフラを整備すれば、それも「公共投資」としてGDPに含まれます。
つまり、土地の売却は、それ自体がGDPになるのではなく、その後の**「建設活動(投資)」の引き金**として機能しており、結果としてGDPを押し上げる最大の要因の一つとなっているのです。
「真のGDP」をどう考えるべきか
土地の売上が直接GDPに入っているわけではないため、「売上分を差し引いて真のGDPを計算する」というアプローチは正しくありません。
しかし、多くの専門家が懸念しているのは、まさにその「建設投資」の**中身(質)**です。
GDPの「かさ上げ」問題
GDPの統計ルールでは、その生産が「将来的に有益かどうか」は問われません。
例えば、誰も住まない「ゴーストタウン」のマンションを建設しても、その建設にかかった費用はGDP(投資)として計上されます。また、採算度外視の巨大な橋や高速鉄道を建設しても、同様にGDPに計上されます。
中国のGDPが「実態よりも大きいのではないか」という疑問の核心は、ここにあります。公式のGDP統計には、こうした**「過剰」で「非効率」な投資**が大量に含まれている可能性が指摘されています。これらは数字上のGDPは生み出しますが、将来的に富を生み出す「真の資産」になっているかどうかは疑問です。
「真のGDP」の推定は困難
この「非効率な部分」を正確に取り除いて「真の(=持続可能で生産的な)GDP」を算出することは非常に困難です。
代替指標: 専門家によっては、公式GDPの代わりに、電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行融資残高など(かつての「李克強指数」)を組み合わせて実態経済を推し量ろうと試みますが、それらも万能ではありません。
成長率の推定: 一部のエコノミストは、中国の「実質的な」経済成長率は、公式発表(例えば5%)よりもかなり低い(例えば2〜3%程度)のではないかと推定していますが、これはあくまで推定です。
まとめ
土地の「売上」自体はGDPではありません。
その土地の「上」で行われる「建設(投資)」がGDPの大部分を占めます。
問題は、その「建設」に過剰で非効率なものが多く含まれており、GDPの「質」が低いのではないか、という点にあります。
0 件のコメント:
コメントを投稿