2025年10月4日土曜日

シンプル電子レンジはどこへ行った

実母(92歳)、義母(85歳)のどちらもが「電子レンジの温め具合がうまくゆかない」と言う。自動温めだと、熱くなりすぎたり中心が冷たいままだったりする。私も同じように思う機会が多い。これを解決する方法はあって、レンジ出力を500Wや600Wに固定して、レンジの調理時間を自分で指定すればよい。試行錯誤を繰り返せば、この食材にはこれくらいという時間感覚が身について、あとはそれの応用でどうにでもなる。

これを実行するには電子レンジのユーザーインターフェースに問題がある。レンジ出力を固定するメニューは階層の奥にあって、母らにはちょっと難しい。これが大昔の電子レンジみたいに出力切り替えレバーとタイマーつまみだけだったら、彼女たちにも簡単に使えるのにと思う。実際そういう機種を探してみたが、2025年現在存在しない。1万円の電子レンジでも多機能すぎる。

この問題は世の中のあちこちに蔓延している。楽にしようとした結果、かえって害が増えている事例がたくさんある。いちばんは自動車のオートマチック変速だ。クラッチ付きだったら死ななくてすんだ人は何百人もいる。

オートマチック変速が有効な場面は、エンジン馬力が600馬力以上ある場合だけだ。大馬力を伝えるクラッチは重くて足が疲れる上に、エンジン回転数合わせに失敗するとクラッチや変速機を壊してしまう。つまりモータースポーツならばオートマチック変速は意味がある。しかし、600馬力超のエンジンを積んでいない一般車では、人死にが増えるというデメリットを無視してまでオートマチック変速を採用する必要はない。

オートマチック変速に似た例として、航空機のフライバイワイヤー技術がある。これがあると、大型機の重い舵を力の限り動かさなくてはならない重労働から操縦士は解放される。ところが、フライバイワイヤー技術は旅客機の大事故の原因になったことが何度もある。間にはさんでいるコンピューターの考えと操縦士の考えが衝突すると事故が起きやすい。F-16やSu-27などの戦闘機だと素の機体を不安定に設計して、ちょっとのきっかけで素早く回頭できるようにした上で、間にはさんだコンピューターで無理やり安定に追い込むことで高機動を実現できるメリットがある。こういうメリットは戦闘機にしか生かせない。

1950年頃の技術水準で日常生活には問題ないくらい何もかも楽になっていた。それ以上の楽を求めるのは、人間を堕落させてかえって人類文明の寿命を縮めているように思う。

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