2000年前のギリシャ時代から「民主主義は良い制度だが、全員に選挙権を与えたら社会は劣化するのではないか」と懸念する人(アリストテレス)がいました。その後、エドマンド・バーク、ジェームズ・ミル、伊藤博文、加藤弘之など、多くの識者が同様の意見を表明しています。21世紀に入り民主主義の劣化が顕著になり、ギリシャ時代からの懸念は慧眼だったと認識する人が増えています。
私は、民主主義の問題を解決するために、試験による有権者選別を提案します。具体的には、国民1万人あたり1名が合格する程度の難易度の試験問題を作成し、毎年試験を実施します。合格した人だけに選挙権を与えます。被選挙権を得るにも試験合格を条件とします。被選挙権の試験は、選挙権の試験よりも難易度を高く設定します。
適切な試験問題の作成、公正な試験の実施と採点にはコストがかかるため、導入するのは難しいかもしれません。その場合はより廉価な選別方法の検討も必要でしょう。過去に採用されていた納税額による選別は、最適な方法ではありませんが、不合理な方法ではないと考えられます。コスト的に実現可能な方法の中では、公正な方法と言えるでしょう。
日本では1890年の衆議院選挙において、納税額が15円以上の25歳以上の男性という条件で有権者を選別した歴史があります。この条件で全人口の1.1%が選挙権を得ました。25歳以上と男性という条件は、現代においては無意味かつ有害であるため採用せず、納税額15円以上のみを採用したいと考えます。全人口の1.1%に選挙権を与えるのは多すぎる可能性もありますが、まずは1.1%を基準に試算を行います。納税額は個人で納めている金額とし、法人税は対象外とします。法人税を多く納めているからといって、その会社のCEOに選挙権を与えるのは不自然だからです。
項目 | 1890年(明治23年)の制限選挙 | 現代(2020年代)の選別目安 |
選別割合 | 全人口の1.1% | 全人口の1.1% |
選別基準 | 直接国税(主に地租)15円以上の納税 | 年間所得税納税額200万円以上 |
価値 | 15円は現在の価値で100万円 | 年収だと1500万円程度 |
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