日経平均が30,000円だった時期と比較すると、現在の物価は約1.2倍に上昇しています。株式も商品の一種であるため、インフレが発生すると価格が上昇します。30,000円の1.2倍は36,000円ですが、現在の日経平均は50,000円です。物価上昇率を上回るペースで株式価格は上昇していることになります。
物価上昇に伴う株価上昇は、普遍的な現象です。米国では1980年から2025年までに物価は4倍に上昇しました。同期間においてダウ平均は40倍に上昇しました。第一次世界大戦後のドイツでは、物価は1兆倍に上昇した一方で株価は2兆倍に上昇しました。日本の例と同様に、物価の上昇率を上回るペースで株価は上昇する傾向が見られます。
日本の物価が1.2倍に上昇したと言っても、これは平均値であり、2倍に上昇した品目もあれば、価格が変化していない品目もあります。どのような品目が価格上昇しやすいのでしょうか。意外にも、贅沢品ほど価格上昇しやすい傾向にあります。これは常識的な見方とは異なります。人間の生存に不可欠な食料品は、価格が高騰しても購入せざるを得ないため価格が上昇すると考えがちです。一方、必需品ではないブランド品のバッグや高級乗用車などは、購入が必須ではないため需要が減少し価格が下落すると考えがちです。しかし、実際には逆の現象が起きています。経済的に余裕のある層が購入する品目ほど、価格上昇が顕著です。都心の不動産がその典型例です。そして、株式も同様です。物価の上昇率を上回るペースで、株価の上昇率が高まっているのは、このような理由からです。
前段で述べた理由について、そのメカニズムを説明していませんでした。私自身もそのメカニズムを理解できていません。資産を保有する個人は、資産を消費したい、または資産を増やしたいという傾向があるのでしょうか。そうは言っても資産を預金する個人が多数を占めているようにも思われます。もしかしたらトマ・ピケティのr>gが関連しているのでしょうか。理由を探すのは今後の私の課題です。
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