「独裁体制から民主主義へ」はジーン・シャープの名著である。この本の中で述べていることを私は全て肯定する。その通りだ。ただし、本の想定外のことには適用が難しい内容ではある。それを3つ挙げる。
- 体制側に暴力を使う口実を与えないために非暴力で抵抗するというのが本書の骨幹をなす考え方だ。それに対する体制側の対処策が存在していて普通に使われている。プーチンはチェチェン人の仕業に見せかけて自作自演のテロを実行し、それを口実にチェチェンに攻め込んだ。チェチェン人は暴力を使ってないのに体制側は暴力を使う口実を自らでっちあげた。日本が行った盧溝橋事件もそうだ。この手の企みは歴史を紐解くとたくさんある。
- 非暴力で抵抗するメンバーの知性がある程度高くないと本の方法は実行できない。日本やアメリカだと国民がバカすぎてこの方法は使えない。この点は多くの人が指摘している。
- 民主主義なのに独裁体制よりひどい状態になっている国もたくさんあって、日本もそのひとつなのだが、その場合はどうしようもない。倒すべき独裁者がいないのだから。
民主主義なのに独裁体制よりひどい状態になっている国は衆愚政治に陥っている。プラトンとポリュビオスが述べたように衆愚政治は君主による独裁政治に移行しないと修正は難しい。となると新たに本を書かねばならないように思う。タイトルは「民主主義から独裁体制へ(衆愚政治から君主政治へ)」だ。どうやったら君主政治を実現することができるかをジーン・シャープがそうしたように具体的な方法と共に示すのだ。
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