2025年2月19日水曜日

貨幣の信用力は何に基づいているべきか

以前は貨幣の信用は交換できるゴールドに基づくという考え方がよく使われた。いわゆる兌換紙幣(だかんしへい)というやつだ。交換する金属はゴールドではなくシルバーの場合もあった。歴史の中ではゴールドに取り替えられた期間は飛び飛びにしか存在しなかった。そして1971年にニクソンショックで米ドルとゴールドが取り替えられなくなってから、他の国もそれにならって貨幣の信用はゴールドではなく国の信用で代替されるようになった。

国の信用は経済力と軍事力とからなる。両方が世界一のアメリカが最も信用があり、それゆえに米ドルが世界中で通用する貨幣として使われている。

ゴールドの価値はそれほど落ちてはおらず、今でも有事の際には米ドルよりも価値が保全されやすい。しかし子供の頃から疑問だったんだが、ゴールドをありがたがるっておかしい。金属としては錆びにくく加工しやすく導電性もあるので、オーディオプラグのメッキにつかうと扱いやすくて重宝する。しかしそれ以外にはほぼ役に立たない。私が無人島に住んでいたらゴールドを1kgもらうよりは鉄を1kgもらう方がはるかに嬉しいし、生きるのに役に立つ。ゴールドが資産として有用な理由は、保管しても傷まないからと地球ではあまり採れないからなのだが、もうちょっとマシなものをありがたがった方がよいと思う。

米や塩を貨幣代わりに使っていた国や時代もあり、そちらの方が納得がゆく。米も塩もけっこう長持ちするし、何より生きていくのにとても役に立つ。ただし、どちらも本気をだせばいくらでもたくさん生産できる点がゴールドとは違い、それゆえに貨幣として使うのは現代ではよろしくない。

ロレックスの腕時計に高い価値をつけるのはアホらしいとは個人的に思うが、長い期間の保管に耐える点と地球上にたくさん存在しない点でゴールドに似ているので、資産としての理屈は通っている。同じ理由で古い名車やレアポケモンカードの価値が高いのも理屈は通る。ポケモンカードに高い金を払う連中を愚か者と言う人がいるが、それだとゴールドのようにオーディオマニア以外には役立たない金属に高い金を払う連中も愚か者と呼ばねばならない。

保管しても傷まない点と地球上で採れる上限が決まっている点ではビットコインも資産として有用な性質を持つ。私はビットコインをありがたがる連中をバカにしているが、彼らがそれをありがたがるのは理屈は通っている。彼らをバカにするためにはゴールドを価値のない金属と投げ捨てる器量がなくてはならない。

貨幣、ゴールド、ロレックスの腕時計、旧車、ポケモンカード、ビットコインなど資産となりうる物はいくつもあるが、資産としての頑健性は文明の程度と社会状態に依存する。21世紀の今ならどれも価値はあるが、水や食べ物や電気が不足するような社会ではポケモンカードとビットコインの価値はなくなる。さらに社会が荒廃すると貨幣の価値がなくなり、次はゴールドも価値を失う。腕時計と旧車が最後まで価値を維持するだろう。ガソリンが入手できるなら車は生きる上ではとても重要なアイテムになる。太陽電池パネルがあるなら電気自動車も意外に価値はある。

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