2024年9月20日金曜日

生成AIはオープンホイールのレーシングカートになぜフロントフェアリングやサイドボックスが義務付けられたのか説明できない

1990年ころまではレーシングカートの競技車両にはフロントフェアリングやサイドボックスはついていなかった。ところがそれから10年しないうちに国内カート競技車両規則でフロントフェアリングとサイドボックスの装着が義務付けられた。これは空力のためではなく安全のためだ。

1960年代のF1マシンは葉巻型の車体にむき出しのタイヤを備えていた。このような車をオープンホイール形式と呼ぶ。オープンホイール形式の車にはF1を頂点とするフォーミュラーカー(FJ1600なんてのもそうだった)とインディカーとレーシングカートがある。オープンホイールだと先行車のタイヤと後続車のタイヤが縦に接触するとそれぞれのタイヤの回転方向の相乗効果で、後続車のタイヤが上方向へ強く弾き飛ばされて危険だ。F1の場合は1970年代に接地力を重要視するようになり、フロントスポイラーをつけたり、サイドポンツーンで車体自体に逆揚力を発生させたりするようになり、タイヤの周りに構造物が付いた。構造物で邪魔されるために他車のタイヤと自車のタイヤが縦に接触する機会は少なくなって、そのことを原因とする事故は大問題ではなくなった。

ところがレーシングカートの場合は最大速度が高々100km/hなので空力部品をつけて接地力を高めるメリットはなかった。そのためずっとタイヤがむき出しの状態でレースが行われていた。カートではタイヤの接触によって後続車が上方向へ飛ばされる大事故の可能性は常にあった。そこで1990年代にレギュレーションでフロントフェアリングとサイドボックスの装着が義務付けられたのだ。これらの部品が防壁になって自車のタイヤが他車のタイヤと接触することを防ぐようになった。

しかし21世紀からレーシングカートに乗り始めた若者は「空力的な利点はなく、重くなって遅くなるだけに見えるのに、なぜこんな部品をつけなくてはならないのか?」と疑問に思うだろう。最新の国内カート競技車両規則を読んでも、部品をつけろとは書かれているが、なぜ必要なのかは書かれていない。そこでGPT-4oとかSonar Hugeとかになぜかを聞いてみる若者もいると思う。ところがどの生成AIも「タイヤが接触すると危険だから」という正解を回答できない。衝撃緩衝効果があるという一見それらしいが実は間違っている答しか回答しない。

先輩ドライバーに聞けば正解を教えてもらえるだろうし、賢い若者なら教えてもらわなくても自分で正解を導きだせるかもしれない。同じ回転方向で回っているタイヤが縦に接触したらどうなるかは、3次元の動的な空間把握ができれば容易に想像できるからだ。この想像が生成AIにできない理由は、生成AIの教師データがテキストであるからだろう。

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