2024年6月25日火曜日

老後にそなえた資産形成よりもお金の使い方を学ぶ方がはるかに重要

日本の年金が破綻(正確には減額)することが広く知られてから、老後に備えた資産形成がよく話題になる。資産形成のためには節約と投資がよいとされる。それらはもちろん重要だが、いちばん重要なのは「お金の使い方」だ。正しいお金の使い方を身につけていれば、年金が一円ももらえなくても金融資産が一円もなくても老後の心配はなくなる。

正しいお金の使い方を言葉で表すと簡単で
  • 重要なことに集中してお金を使う
だけだ。ところがこれを実行するのは簡単ではない。まず重要なこととそうでないことを区別できる頭脳が必要になる。これは一朝一夕に身に付くものではない。本を何万冊、査読付き論文を何万篇も読まないと本当のことはわからない。私は50年かかった。

重要なことは個々人で違うのだが、ほとんどの人にとって重要であろうことを以下に挙げる。
  • 本人と家族の健康
  • 家族との信頼関係
  • やりがいのある仕事または趣味
これらにお金をかけて充実させると、貯金が一円もなくても死ぬまで幸せでいられる。つまり老後の心配はない。老後だけでなく若いときも幸せでいられる。このことが腑に落ちた後は、なんと簡単なことだったのだろうと思えるのだが、腑に落ちるまでが難しい。ついつい他のこと、特にお金に気をとられてこれらのことを犠牲にしてしまいがちだ。そうして不幸になる。

このことを若いうちからとか貧乏なときから理解している人はすばらしい。賢者と言える。私は賢者ではないから、若いうちや貧乏なときはお金が重要だと思っていた。お金持ちになってお金を好きなだけ使えるようになって初めてもっと重要なことがあることに気づいた。

だから若い人は自分が大金持ちになったら何にお金を使おうかと想像して、それを具体的にイメージし続けるとお金より重要なものが早くわかって幸せになると思う。

以上述べたことは心構えさえ理解すれば簡単じゃないかと思うかもしれないが、実は難しい。なかでも難しいのは健康に関する行動だ。なぜ難しいかというと、20世紀までに知られた医学の知識の5割くらいが間違っているからだ。間違った健康維持方法を実行しても健康にはなれず、かえって不健康になってしまう。医学の新しい研究成果が日々論文として発表されるのだが、それをきちんと読んでいる医師は少なく、古い知識を盲信している医師が間違いを社会に流布している。新しい研究ほど実験と評価方法を厳しく査読されるので、新しければ新しい研究ほど信頼できると思ってよい。新しい研究を知ると、一般に流通している健康知識は5割どころか9割が間違っていることがわかる。例えば
  • 食塩は摂らなさすぎより摂りすぎの方が長生きできる
  • 高血圧は現代人は血管が柔軟なので問題ない
  • コレステロールは多くても現代人は血管が柔軟なので問題ない
  • 1日1万歩も歩いたら早死にする
などが最近の研究成果だ。他にもまだ確実ではないが、ガンは薬を使うより免疫で治した方が身体にやさしいとか、興味深い研究も出てきている。私の肉体が能力も見た目も実年齢より30歳若いのは間違った健康知識に惑わされなかった結果だ。毎年の健康診断ではコレステロールが多すぎるとずっと(40年以上)言われ続けてきた。健康診断の基準の方がおかしいのではないかと思っていたが、最近の研究者の仕事のおかげで自分の感覚の方が正しかったと確認できた。私の感覚のみで何も根拠はないのだが、コレステロールは高度な知的活動をするための触媒物質になっている気がする。今後の研究を待ちたいところだ。

最新の研究成果も未来の新しい研究で間違っていることがわかるかもしれない。つまり、常に新しい論文を読み続けないと真実は見えない。これは医学に限らず、すべての学問について当たり前のことだ。

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