2023年12月18日月曜日

黒田さんの異次元金融緩和を肯定する

黒田さんが行った異次元金融緩和は国債の発行高を増やしただけで経済活性化には役立たなかったと結論されている。それはその通りだ。しかし、私は異次元金融緩和をやり遂げたことを評価したい。もし途中で止めていたら「もっとたくさんの額だったら経済活性化に成功したのではないか」という疑問が残り続ける。そのため再び同じ失敗を繰り返す可能性がある。あり得ないくらいの金額を投入したからこそ「日本で金融緩和をしても良いことはない」と言い切れるようになった。もう同じ失敗は繰り返さないだろう。この点はやり切った黒田さんの手柄だと思う。並の人にできることではない。

異次元金融緩和の効果がなかった理由を分かりやすく見ることのできるグラフが以下だ。


赤い線が印刷したお金の総量だ。青い線は世の中に出回っているお金の量だ。印刷したお金の量より出回っているお金の量が多いのは銀行が信用創造でお金を増やしているからで、不思議なことではない。2013年からの異次元金融緩和により赤い線が増えた。ところが青い線の増えた分は赤い線が増えた分より小さい。その差はどこに行ったのか。それはみんながお金を借りる量を減らしたからだ。信用創造でお金が増えるのは誰かが銀行からお金を借りたときだ。借りたお金を返すとお金が減る。青い線が赤い線ほど増えていないのはみんなが借りていたお金を返したからだ。

お金を借りる人が増えるほど経済は活性化する。お金を借りてギャンブルに浪費する人もいるが、普通の人は家を建てたり、商売を始めたり、商売を広げるときに借りる。お金を借りることで貯金以上の家を買える。これは建築関係の人にとっては商売がより儲かるということだ。商売を始めたら、商売が回っている時点で、商売に関わった人たち(仕入れ先など)が潤う。お金を借りる人が増えるほど経済が活性化するのはこのためだ。

日本は文化的にお金を借りることを嫌う人が多いので、お金が借りやすくなっても借りる人が増えずに経済が停滞したままとなりやすい。文化の問題なので、日銀がお金をたくさん印刷してもそれは変わらない。

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