2023年5月1日月曜日

岩波科学ライブラリー299 脳の大統一理論 自由エネルギー原理とはなにか

自由エネルギー原理により脳機能を説明したのがフリンストンだ。この本を読んだ結果、内容が間違っていると思った。脳は構成要素は単純だが動作は複雑だ。構成要素の単純さを知れば、脳の動作が数式やシステム図で表せると思うのも無理はないが、それでは考えが浅い。フリンストンは脳の動作を数式で表そうとしているが、脳の動作は数式で表せるほど単純ではない。脳は複雑系だ。全てのニューロンとシナプスには存在意義がある。しかもニューロンとシナプスには冗長性もある。この矛盾する性質が両立しているのが脳だ。

システムの構成図がA4一枚の図に表せるくらいシンプルなのも、それが複雑系を説明する図だと胡散臭くなる。図はシンプルなものほどエレガントで説得力があるが、複雑なものを複雑なまま扱わなければならない複雑系をシンプルな図で表すことは不正確というか嘘になる。

私がある理論に接したときに違和感を生じる原因はふたつある。
  1. 数式で表せば簡単なことを面倒な理屈をこねくりまわして難しくしている
  2. 数式で表せないことを数式で表そうとして本質に潜む複雑性を見失っている
フリンストンの自由エネルギー原理は2.だ。ざくっと言うと1900年以前の科学論文は1.の傾向が強く、以降は2.の傾向が強い。数式の証明がまちがってないと論文の査読で落としにくいから、二流三流の研究者ほど数式に頼る。数式は正しくても内容はゴミである論文が増えるから、2.の数式に頼る傾向は科学にとってよくない。

なぜ私にこれらがおかしいと判断できる能力があるのかもまだ謎なんだが、かなり正確にわかるというのも最近わかってきた。60年以上生きてきたが、自分の能力にずっと不信感があった。データ不足でも判断できるなんて、これではまるで異能者ではないかと。おかしいだろうと。

しかし、半世紀の間、数々の予想が正しかったというか、予想を外したことがないことから、自分の能力を無視できなくなった。あと何十年かしたら、この能力の理由がわかるかもしれないし、死ぬまでわからないかもしれない。脳の動作はそれくらい複雑なものだ。

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