過去の歴史ではある国に投資資金が流入して、その国の経済が活況になった例はたくさんある。米国も中国もロシアも資金流入により経済発展にはずみをつけた。来年はついに日本の番だから日本の経済発展に期待したい。なのだが、大切なことを見落としている。過去の経済発展の例では、資金流入でその国の企業が成長した場合、企業は誰に製品を売っていたのか。それはその国の国民だ。中国では製品の輸出額が大きいがほぼ同じ額を輸入していて貿易収支額は小さい。貿易収支がGDPに占める割合は4%弱に過ぎない。残りは内需だ。国の経済発展のためには輸出だけでは不十分であり、内需が必要だ。つまり資金流入により経済発展するためには、その国の国民に購買力がないといけない。今の日本国民に購買力があるだろうか。日本人の個人金融資産は2000兆円以上あって世界一なのだから数字の上では購買力はある。しかし製品を買う消費マインドが日本人には徹底的にない。もしあれば、今の日本はこんなに経済低迷していない。海外の資金が流入して、企業の資金繰りが大いに改善して設備投資も朝めし前となっても、経営者は生産を増やすだろうか。売れないのに生産を増やしても在庫が増えるだけだ。高性能な新製品を開発して高い値段をつけて売るだろうか。高い値段のものは良くても売れない。ならば経営者は設備投資はしない。好条件で資金調達可能でも経営者は設備投資のための資金調達はしない。結果、資金流入は日本企業の株を買うことだけに費やされ、株価を引き上げるだろうが、企業の収益は増やさない。株価が上がれば、資金を提供した外国人はそれを売って自国通貨に替えて大満足だが、それだけだ。日本人にはよいことはない。景気は悪く、労働者の給与は低いままだ。
内需に頼らず製品を輸出すれば良いという意見もあるが、それはうまくいかない。円高は輸出企業には不利な状況だからだ。多少の円高など影響のない技術競争力や価格競争力を持つ企業なら投資する価値はあるが、そのような輸出企業は日本にはたくさんはない。
日本人の消費マインドがないのがうまくいかない原因だ。たくさんお金を持っていても使わない。さらにお金を貯めこもうとする。これさえなければ、円高だろうが円安だろうが日本経済はもっと発展していた。失われた30年なんてのも起きなかった。そう言えば日本人は寄付する人数も額も他国に比べて少ないというデータがあった。自分だけ富めばよいという欲深な人が自らのせいで貧乏になっても、それは自業自得としか言えない。日本が他国に攻め込まれても自ら戦わないことを世界に知られたら誰も助けに来ないのと同じで、日本人がお金を貯めこむせいで貧困に陥っても誰も助けようとは思わないだろう。「なぜ自分のお金を使わないの?」と言われるだけだ。
日銀は正しい経済政策をしているのだが、日本人の消費マインドを変えることは誰にもできないので、日銀の金融緩和の努力は空振りに終わっている。彼らが気の毒でならない。私が日銀の職員なら、職を辞して旅に出ていると思う。日本人なんか気にかけて仕事でストレスためても何も良いことはなかったと。
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