2022年11月15日火曜日

第3号被保険者制度は意外と新しい制度だった

第3号被保険者制度はずっと昔からあったと思い込んでいたが、調べると1985年に制定されて1986年から実施された比較的新しい制度だった。それでは1985年以前はどうなっていたのかを調べると、専業主婦は国民年金を払わなくてよいことは今と変わらなかったが、払わなかった人は国民年金をもらえないとなっていた。国民年金をもらえないというのは老後に困るので、専業主婦を救済するために第3号被保険者制度ができた。
私は第3号被保険者制度はよい制度だと評価している。なぜなら、厚生年金を払っている人(サラリーマン)は国民年金だけを払っている人に比べて余計にお金を取られるので、それを補填する意味合いがあるからだ。20歳から60歳まで年金を払った人が65歳から81歳まで年金をもらった場合の収支を計算してみた。81歳は男性の平均寿命だ。厚生年金は平均額の月14万円受給と仮定した。

国民年金
 支払い総額 1.65×12×40=792万円
 受け取り総額 78×16=1248万円
厚生年金
 支払い総額 5.6×12×40=2688万円
 受け取り総額 168×16=2688万円

厚生年金を払う人(サラリーマン)の方が462万円損をしている。しかも、国民年金を払う自営業や農業の人は節税しやすいので、サラリーマンの実際の損はもっと大きい。それならサラリーマンの妻の専業主婦を優遇しなくては公平ではない。もちろん、いちばん損なのは夫婦とも厚生年金を払っている共働き夫婦だ。それはそうなのだが、夫婦とも厚生年金を払っている場合、夫婦合わせた年金の受取額は平均で月額28万円。この人たちにさらにお金を与えるべきだという話は通りにくい。気の毒だが。

お金の損得以外にも専業主婦を優遇することには大きな意味がある。専業主婦を優遇することで日本の少子化に歯止めがかかる。保育園が十分でない日本では共働き夫婦が子供を育てるのはかなり難しい。専業主婦であれば子育ては簡単とは言わないが、負担はかなり減る。もちろん、旦那の収入が十分でないと専業主婦では暮らしていけないから、そこも考える必要がある。サラリーマン特に非正規雇用の人の給与を増やして、専業主婦に手厚い保護を与えるのは、少子化対策として有効だろう。
え、女性の社会進出だって?労働者が足りないからそう言いたい気持ちはわかるが、それで子供が減って国が滅びたら本末転倒だろう。子どもを育てる社会環境を整えて、男性が子育てに協力する文化を醸成し、子育てに時間をつかってもキャリア形成に悪影響を及ぼさない企業文化にできたなら、そこで初めて第3号被保険者制度は廃止してもよいだろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿