100分de名著で知った。著者が自ら受けた黒人差別について語った本だ。この手の黒人差別の話を聞いた人は、よほどのひとでなしの白人でない限り、黒人差別反対の立場になると思う。「人間を肌の色で決めつけるな!」と主張するのは正しい。しかし「黒人を白人と同じように扱え」というのには賛成しかねる。必要なのは黒人も白人も黄色人種も赤ちゃんのときから同じスタートラインに立てるようにするという点のみだ。教育も同じ条件で行う。その後差がついたら、それは個性だ。頭の良い人も出るし、リズム感の優れている人も出る、走るのが速い人も出る。そして逆の人も出る。人種に関係なくそれは個性だ。個性は区別しないといけない。
ファノンは最初は差別する側に居た。その後フランスに渡って差別される側になって悩み始めた。一時はネグリチュードに傾倒したが、それは逆差別につながるとしてさらに悩み考え続けた。そして黒人の考え方を変えるだけでは足りず、社会を変えなくてはいけないと思い至った。しかし、今でも差別は解決していないことからわかるように、社会を変えるのは容易ではない。ファノンが36歳で早死にしなければ、死ぬまで悩み考え苦悩し続けただろう。ファノンは死の数年前、黒人解放のためアルジェリアの独立戦争に身を投じた。戦争に参加しなければならないとしたら、普通は悲劇だと思うだろう。しかし私はファノンはこのときちょっとだけ幸せになれたと思う。社会を変えなくてはならないと分かっているのに、社会を変えられない悲しみ、無力感、あせりから、戦争に参加しているときだけは解放されたと思うからだ。戦争は自分が撃たれる覚悟が必要だ。しかしそれゆえに自分を許せるのだ。
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