金儲けに一心不乱になっている人に「お金がなくても楽しめますよ」と言ってもなかなか聞いてくれない。私が貧乏だから話を聞いてくれないのだろうと思って金持ちになった。カリブ海をヨットで楽しんだ話をしてみた。もちろんスキッパーは私で、クルーは家族。しかし、あまり説得効果はなかった。ヨットの話を聞いてくれるのはヨット仲間だけで、アドリア海で乗ったとか黒海で乗ったとか日本近海で死にかけたとかそういう経験がある連中だけは真剣に聞いてくれる。金の使い道のひとつについて話をしているだけなのに、なぜお金に全集中している連中が聞かないのか理解不能。ひがんでるのか?一心不乱に金を儲けている連中は金を何に使うつもりなのだろう。ろくに使い方を知らない連中は哀れだ。金の使い道とその効果を知れば、実は金がなくても良いことに気付きやすいはずなのだが。クルーザーを購入して操船技術を身に付けなくても、半島の突端に行くとかでもかなり似た景色は味わえる。きれいな海へ誰かが動かす船で連れて行ってもらってもいい。結局お金を使わなくてもほとんど同じようなことができる。つまり、お金は実はいらない。自分で船を操るのも相当に面白いが、それはかなりマニアックな世界だ。無理して足を突っ込む必要はない。たいていの楽しみにもそれは言える。楽しく暮らすのにお金はあまり必要ない。
食事ができて寝る場所があれば十分だ。生活保護でも十分に暮らせる。生活保護だと医療費が無料なので病気の心配も少ない。あとは図書館の本を読むなり、外で運動するなり、いくらでも幸せに過ごせるのに。私もこれからいちばん何をしたいかと聞かれたら、読書と運動だ。
一人でお金を増やしているトレーダーはまだいい。誰にも迷惑をかけていないからだ。問題はジェフべゾスのような連中だ。倉庫でブラックな働き方を強制されている労働者の犠牲の上に自分の富を増やしている類の人間だ。人道にもとることをしてまで使いきれない金を貯めてどうするのか。はっきり言って愚か者だと思う。
私も今も惰性でトレードをしてお金を増やしているが、死ぬまで使い切れないお金を持っていても何の意味もないし、私がお金のむなしさを言っても聞いてくれる人はいない。ジェフべゾスくらいお金を持っていれば話を聞いてくれるのかとも思うが、たぶんそれも違うだろう。どうやら同レベルの人間が言わないとダメっぽい。ワイドショーの見るからに知性のなさそうな司会者とかが適役だろう。
お金を増やしてみせる方法はお金の価値を説明するのには効果がないようだ。そんな訳でもうお金を増やすのは止めにした。私と家族が死んだ後に残ったお金は本当に必要な人のために使ってくれる機関に寄付する。黙っていると国庫に召し上げられるが、それだと本当に必要な人に回らないのでうれしくない。
新型コロナが何の救いももたらさなかったことに脱力して以来、日々平穏に楽しむこと以外なにもする気がなくなってきている。デイトレする時間があったら本を読みたい。天気がよければ散歩もしたい。
もう行く体力がないが、カリブ海の島々へは30回以上訪れた。カリブの海は沖縄の島々と一緒くらい海がきれいで心が癒やされたのがせめてもの救い。飛行時間が長すぎ、乗り換え待ち時間も長く、エコノミーだと修行になる。40歳過ぎてからは、ビジネスやファーストに切り替えたが、それでも疲れるのでもう身体的に行くのがつらい。妻は若い頃肌が雪のように白いのが自慢だったが、私があまりに長くヨットに乗せたので顔だけでなく体にもシミが出てしまった。私一人で乗ればよかった。妻からは気にしないでよいとは言われているが、なんだか申し訳ない。カリブとの往復でマイルはたくさん貯まったので、慈善事業へ寄付した。以前は旅行にもマイルを使っていたが、2015年あたりからマイルでファーストクラスを予約するのがほぼ不可能になっているので、もう遠距離旅行には使えない。予約の電話に何十分もかかるのは時間の無駄遣いだと感じる。国内線とか台湾とかウラジオストックみたいに飛行時間が4時間未満なら、私はエコノミーもけっこう利用する。LCCも使う。本を読む分には困らないし、エコノミー症候群になる心配も少ない。長距離線でファーストに乗っても食事を全部断って寝るだけの方が贅沢なことも分かってきた。妻が始めたことなのだが、豪勢な食事と飲み物を断るなんてもったいないと思っていた。しかし、飛行機を降りた後の活動力は機内で寝たときの方がずっとあることに気付いて私も真似るようになった。ファーストで何がいいかって、ベッドになるシートがあることだ。
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