2019年7月17日水曜日

ホモ・デウス、最後にがっくし

ユヴァル・ノア・ハラリのホモ・デウスを読んだ。読み始めて「これはすごい!」と興奮して、どんどん読み進めていった。人間社会をここまで客観的かつシンプルしかも正確に述べた書物は他にないのではないか。最後はどんな提言で締めくくってくれるのだろう。ワクワクして読み進めていった。そして終盤、AIのことに言及が始まった。え、えーあいですか?嫌な予感がした。そして読んでいくと嫌な予感は当たった。この人もAIを分かっておらず、過大評価していた。あーあ、とたんにこの本が幼稚なものに思えてしまった。がっかりだ。著者は歴史学者だそうだ。自分の専門でないことを安易に述べるべきではなかった。

AIを語るときは、自分でAI(現状では狭義たるディープラーニング)をプログラミングできる人でないと、正しい表現ができない。現状のAIは人間の高度な思考などまったくできない。AIがディープラーニングベースである限り、高度な思考はできる予定もないし、できる気配すらもない。それは自分でアルゴリズムを理解し、プログラミングすれば分かる。AIを正しく認識できていないと、AIの議論はカルト宗教を語るのと変わらなくなってしまう。真のホモ・デウス的な著作の出現のためには、AIを正しく理解している社会学者あるいは哲学者が出現するのを待たねばならないだろう。

と言うか、「AI?あんなもの屁の役にもたたないよ」と言い放つことができる人こそ、真の知性を持った人と言えるだろう。

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