2012年2月8日水曜日

銭湯と乱流

アニメ「テルマエロマエ」を見たからではないのだが,私の好きな銭湯にまつわる話を書いてみたい.同じように思っている人が多いと思うが,銭湯の湯加減は熱すぎる.NHKのためしてガッテンで43度のお湯がもっとも身体に良くないと言っていたが,銭湯の湯はちょうど43度くらいだ.そこで水でうめたいのだが,他の人が入っているときにじゃぶじゃぶ水を入れるのは何となく気が引ける.そこで,他の人が一人も居ない時間を見計らって入浴して,水でうめるということをしている.私は湯の温度が40度くらいが一番心地よい.銭湯の湯船全体を40度にするのは時間がかかるし,後で入った人がぬる過ぎると感じるのもまずいので,自分が入る湯の周辺だけ,体積にして約1立方メートルの領域だけ温度を下げるようにうめている.このような湯の状態を作りたいときに水道の栓をどれくらい開けば良いか,が今回の話である.
銭湯の水道栓は家庭のそれより大きくて,全開にすると滝のように水が出てくる.水道栓から出た水は水面に激しくぶつかって,水面は泡で白濁してしまう.水道栓を絞ると水の勢いはだんだん弱くなり,泡が消えて水の柱が水面から立っているようになる.1立方メートルの領域だけ温度を下げたいときはどちらの水の入れ方が適切だろうか,色々実験して分かった答は後者だった.水面が泡で白濁するように水を入れると,白濁している水面付近だけ温度が下がる.湯船の底の方は熱いままだ.この状態で湯船の底の方まで温度を下げようとかき混ぜると,かなり大きな領域で温度が下がってしまう.自分の入る領域だけ温度を下げるということができない.水道栓を絞って水を入れると,湯船の底の方ほど温度が下がる.この場合は軽くかき混ぜるだけで水面の方まで温度が下がる.かき混ぜが弱いので,温度が下がる領域はそんなに大きくならず,人間一人が入るのにちょうど良い領域くらいになる.
なぜこのようになるのだろうか.流体力学は履修してはいるのだが,なにぶんにもずいぶん昔なのであらかた忘れている.残っているおぼろげな知識によると,水を勢いよく入れるときは乱流,そっと入れるときは層流になるためではないかと考えている.乱流は水面付近の水をよくかき混ぜるが,かき混ぜが著しいので,上から落ちてきた水の進行方向が乱されてしまい底まで届かなくなるのではないか.層流だと水の進行方向を乱すことなく,冷たい水が底まで届くという訳だ.しかし,乱流と層流の違いはたしかレイノルズ数で判断するのだよな(この辺りあいまい),水をそっと入れた状態でも実は乱流領域ではないのかなとも迷う.今回の問題は単に乱流の乱れ具合が違うだけということになるのかな,とか.ぜひ専門家の意見を聞いてみたい.

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