2026年9月27日日曜日

ヤフオクに業者が生き残っているいる理由がやっとわかった

メルカリでの犯罪について研究していたら、副産物としてヤフオクだけに業者が生き残っている理由と、彼らの収益が意外によいことと、その状態がしばらく続くことがわかった。面白かったので紹介しよう。
 
まず簡単にメルカリ上の犯罪研究から。日本では犯罪者がメルカリを利用してマネーロンダリングする事例が多く、メルカリはあっち系の組織と裏でつながっているのではないかと疑いを抱く人もいる。ヤフオクは犯罪での利用が少ない。これがフリマ形式とオークション方式の違いから来るのではないかと疑問を持ったのが研究の発端だ。調べた結果、フリマ形式だから犯罪者が利用するのではないことがわかった。米国ではオークション形式のeBayの犯罪利用が多く、フリマ形式の方が犯罪者の利用が少ない。犯罪者が利用するかどうかは、フリマかオークションかは関係なく、会社のモラルに依存していたのだ。つまりメルカリ社はモラルが低いということだ。米国ではeBayがダメだったということだ。どちらも今はかなり改善されている。 
 
これで犯罪関連の研究は終わったのだが、研究途中でオークションとフリマでどのような住み分けになっているかがわかったのでそこを掘り下げた。 最近はフリマの方が優勢だ。日本も米国も同じ傾向だ。業者によって条件には差があるが、フリマの特徴は一撃落札と送料無料ということだ。これはタイパを重視する現代人と相性がよい。遠隔地でも送料の心配をする必要もないのも良い。このために雑貨や小型家電などの出品はフリマへ流れている。オークションの方が向いているのは値付けに鑑定眼が必要とされる物品、希少品だ。しかし、美術品と中古車は別のオークションルートがあるので、それ以外のものがヤフーオークションやeBayに残ることになる。ここまでの調査結果は納得がいった。ところが、ヤフーオークションにはフリマの方が売れやすい雑貨や小型家電を売っている業者がたくさんある。彼らはいったい何なのかという疑問が湧いた。それについてさらに掘り下げて調べてみた。
 
彼ら業者は古物商である。中古品を仕入れて売り捌く仕事だ。古物商は届出さえすれば、誰でもできる。ヤフーオークションとヤフーフリマでは検索エンジンで両方見られるので比較しやすい。同じ品物を同じお金を出して買う場合、フリマの方がよい状態のものを買える。フリマは業者は参加できず個人出品者のみである。個人出品者にはヤフーが提供している送料割引システムがある。お手軽なんとか便という名前で、遠くに輸送する場合はクロネコやゆうパックの正規運賃よりかなり安い。送料が安いおかげで出品者は品物の方の値段を高く設定できる。そのため、送料も含めて同じ価格だったらフリマの方が状態の良いものが手に入る。
 
こうなると業者は不利に見えるが、 彼らは廃業することなく元気にやっている。結論から言うと、業者は時給3000円〜10000円の収入があり、しかもAIで代替できないので長く仕事を続けられるのだ。そのからくりを調べると面白かった。
 
最大のからくりは、業者の仕入れ価格はタダどころか、マイナスである。お金をもらって中古品を引き受けているのだ。掃除業者や、遺品整理業者から、ゴミ処理代をもらって大量のゴミを引き受ける。だから安く売っても利益がでる。ゴミの中から本当に価値があるものは、別ルートで流して高く売る。残った雑貨や小型家電をヤフオクに出品する。品物はかなり安く値付けする。送料はクロネコや佐川やゆうパックの正規料金を指定する。あるいは正規料金の着払いである。これは業者はお得な輸送料金を使えないからもあるが、集荷してもらいたいからだ。お得な輸送料金はクロネコやコンビニに行ってQRコードを見せて発送する。1日に何十個も発送する業者はたとえこれが使えても、人件費を考えると割に合わない。だから、まとめて集荷してくれる運送業者に正規料金で頼むのだ。 そしてノークレームノーリターンを指定する。民法上は業者のノークレームノーリターンは無効なのだが、数千円を取り戻すために裁判を起こす落札者はいないので、実質有効である。そして出品のルーティンや発送のルーティンを作って1日数十個を発送する。仕入れ価格がマイナスなので、2000円の品物を売っても利益はヤフオク手数料を払っても1000円くらい出る。ノークレームノーリターンなので、品物が届いたときのアフターサービスの手間はかからない。これで時給を計算すると彼らの時給は3000円〜10000円となるのだ。特殊な技術が不要でこの時給はかなり魅力的だ。ただし、時給が高いのは社長だけであり、出品用の写真を撮ったり、発送の梱包をしたりをアルバイトでやっている人は最低賃金クラスの給料しかもらえない。
 
こんなに美味しい商売なら、規模を膨らませて自動化したらもっと儲かると思える。そこで自動化のコストとそれがペイする規模を推定した。仕入れた中古品を置く倉庫、それをピックアップして識別するカメラ付きAIロボット。写真を撮ってヤフオクに出品手続きをするロボット、落札されたら品物を梱包して発送するロボットが必要だ。設備投資は10億円単位で必要だ。人間が行うより利益がでるためには毎日数万個の処理が必要になる。現実の業者は年間で1万個程度しか売っていない。その500倍から1000倍の規模でないとAIロボットはペイしない。そんなに中古品はないし、買う人もいない。つまり自動化はできない。これはずっと人間が行う仕事となる。そのため、零細業社が乱立してやっていけているのだ。
 
彼らが売る品物はノークレームノーリターンなので、壊れていたら困る小型家電やパソコン用品を彼らから買うのは一種の賭けである。ヤフオクで業者から買うのはぬいぐるみなどの、出品の写真からまともかどうかが判断できる品物に限定した方がよい。

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