オルテガは「大衆の反逆」の中で "Noble es el que se exige mucho"——自らに多くを課す者が貴族で、何も課さない者が大衆——と述べている。選良(貴族)はさらに学び、大衆は自分に満足していて傲慢なので学ばない。その結果、賢い人はさらに賢くなり、愚かな人は愚かなままとなる正のフィードバックが生じる。これを傲慢仮説と呼ぼう。
Heckmanの言う動学的補完性、"skill begets skill"では、知れば知るほど次の一個を学ぶコストは下がり、学んだ結果の価値は上がると主張する。これを補完性仮説と呼ぼう。
「賢い人がさらに賢くなる」現象は傲慢仮説でも補完性仮説でも説明できる。そして我々の普段の観測からも、それは実質的に証明されている。知性には正のフィードバックがかかるのは自然なことらしい。
生物は魚くらいのレベルまでは強靭な身体を持つ個体が有利だった。しかし、恐竜、鳥、哺乳類レベルになると知性を持つ個体が有利になった。ライオンや狼は賢いものがリーダーになり、賢いリーダーに率いられた群れは上手に餌を取れるので生存の確率が上がる。身体の強靭性より知性に優れる方が生存に有利なことは宇宙全体で通用する一般的な法則なのだろうか。将来、他の星系の生物のことを知ることができるようになると、それがわかるだろう。
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