21世紀の世界情勢において、多くの国で右派的な政治勢力が台頭しています。これは、左派的な経済政策が国家経済を弱体化させるとの懸念から、国民が右派的な政策を選択する傾向にあるためと考えられます。共産主義体制であったソ連の崩壊や、共産主義経済時代の中国における貧困状態は、左派的な国家運営が国家の衰退を招くことを証明しました。
米国においては、共和党のトランプ氏が大統領に選出されたことを受け、右派的な政策に対する国民の支持が高まっているとの見方もあります。他国の状況も踏まえると、今後、左派的な政策が国民的な支持を得られる可能性は低いと考えられます。このままでは、米国の民主党は支持基盤が縮小し、共和党一党体制に移行するのではないかとの懸念も生まれます。しかしながら、両党の党史を紐解くと、このような予測は必ずしも正確ではないことが分かります。
米国における議会政治の黎明期には、民主党と共和党は存在しませんでした。当時の主要な政党は州の権限を重視する民主共和党と国の権限を重視する連邦党でした。その後民主共和党が分裂し民主党が誕生しました。これに対抗する勢力は、共和党ではなくホイッグ党でした。1850年代、奴隷制廃止を主張する人々が集結し、共和党が結成されました。当初、左派的な立場をとっていたのは共和党だったのです。
民主党が左派的な政党へと変貌を遂げたのは、1930年代のルーズベルト大統領の時代です。彼のニューディール政策は、左派的な国家運営を体現するものでした。これに対抗する形で、共和党は右派的な立場を明確化しました。この立場が現在に至るまで続いています。
時代ごとに主要な争点(奴隷制、ニューディール政策など)が変化する中で、両党はそれぞれの支持基盤や政策を変化させながらも、二大政党制を維持してきました。したがって、民主党が永遠に左派的な政党であり続ける保証はなく、将来的に右派的な主張を展開する可能性も否定できません。したがって、民主党は左派的な政党であるため消滅するという予測は的外れと言えるでしょう。
トランプ氏の大統領選出は、低学歴白人層の支持獲得によるものであり、彼らの主張は「公正な競争を否定し、我々の利益に資するルール策定を要求する」(=我々は努力する気はないが金はよこせ)というものです。これは興味深いことに典型的な左派の主張と同一です。このような状況下においては、民主党が右派政党へと移行し、共和党が左派政党へと移行するという仮説も、荒唐無稽と批判することはできません。
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