1980年までは車を速く走らせる人はもれなく車のことを深く理解していた。車のメカニズムの理解はレーシングドライバーで成功するための必須条件だった。
F1の世界チャンピオンになったアイルトンセナは車のメカニズムにあまり興味がない人とされているが、彼は幼少のころからカートをドライブしていたのでメカニズムの知識は当然あった。何もわかってなくてF1をドライブしていたのではない。
頭文字Dの藤原拓海君は車のメカニズムを何もわかってなくて速いドライバーの代表なのだが、フィクションなので現実味はない。物語の後半では彼もメカの勉強に頑張っていたので、最後までメカがわからなくて速いドライバーではなかった。
話をLLMに戻すと、中身がわかってないとうまく使えないのは当たり前だ。LLMとそのエンジンであるDLはヒントン氏の2012年(元祖は2006年の論文だが)の成果から順に追跡している人は中身を無理なく理解できているが、そうでない人はブラックボックスとして扱っている。LLMに関してはわずか13年分なのだから基本から勉強すればよいのにと思うが、それをする人は少数派だ。
コンピューターも同じだ。ソフトは、プロセッサの内部構造、プロセッサのマイクロコード、プロセッサのインストラクションセット、プログラミング言語の構造、コンパイラの動作、OSの中身、通信プロトコルを知らないとうまく使いこなせない。ハードであればプロセッサの内部構造、メモリの内部構造、全体回路、周辺回路、通信回路を理解していないとうまく使いこなせない。これらは1970年代から技術が発明された順にリアルタイムに触れてきた世代は学ぶ時間が十分あったので無理なく理解できている。しかし2000年以降に生まれた若者がコンピューターの中身を理解するのは大変なのではないかと思う。それゆえに中身を理解せずに使ってしまい、年齢が70代のウイザードほどには使いこなせない人が多いのだろう。
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