2023年12月1日金曜日

ドバイでエイ版かもめのジョナサン発見

エイは左右に広がる大きな胸びれを持っている。鳥の翼に似ている。泳ぐ時はこの胸びれを下に打ち下ろして優雅に進む。鳥と同じように左右の胸びれは同時に打ち下ろす。

ところが、この泳ぎ方をしない個体を見つけた。場所はドバイの埋立地の先端にある大きなホテル内の生け簀だ。この生け簀には魚がたくさんいて、横幅が1〜2mサイズのかなり大きいエイが5匹泳いでいる。そのうち4匹は普通に泳いでいるが、1匹だけは左右の胸びれを交互に打ち下ろして泳いでいた。こんな泳ぎ方をするエイは初めて見た。

時刻を変えても日を変えても、このエイは左右の胸びれを交互に打ち下ろして、のんびりと、ちょっとコミカルに泳いでいる。記録に残しておいた方がよかろうとビデオに撮影した。以下はビデオから切り出した静止画だ。


自分でやってみるとわかるが、左右対称の動きはエネルギー効率が悪い。走る時に、左右の足を交互に前に出す走り方と、カンガルーのように両足を揃えて跳ねる走り方とを比べると、交互に使う走り方の方が疲れない。だからほとんどの動物は足を交互に動かして走る。腕の動きも同じで、両腕を同時に動かすとエネルギー効率が悪い。バタフライとクロールを比べると、クロールの方が楽に速く泳げるのはそのためだ。

つまり左右の胸びれを交互に動かしているエイの泳ぎ方は通常の泳ぎ方に比べてエネルギー効率が良い。このエイはそれに気づいたのだ。
そうだとしても本能で身についている泳ぎ方をわざわざ変える魚など見たことがない。このエイはまるでリチャードバックの著作に出てくるかもめのジョナサンだ。ジョナサンは速く高く飛ぶことを目指して常に飛び方を研究して変えていた。エイにもそのような個体がいたとは。パイオニアだ。仲間だ。

ただし、後天的に身につけた才能は子孫には伝わらない。ほとんどの場合は一代限りで終わる。生き物の進化の残念なところだ。

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