2018年7月20日金曜日

本から王子様が飛び出す

図書館から借りた本を読んでいた.中ほどのページをめくったとたんに小さな黒い点が飛び出してきた.一瞬羽虫に見えたが...私は飛蚊症の気があるので,錯覚だろうと思っていた.本の中で虫の成虫が生きていられるはずがない.ところがしばらくすると妻が「私の周りに虫が飛んでいる」と言い出した.妻の周りを良くみると本当に小さな儚げな虫が飛んでいる.私より妻の方が気に入っているようで妻の周りばかり飛んでいる.
「これは王子様が悪い魔女によって虫にされて,本の中に閉じ込められたのじゃないか.チュウすると王子様に戻るかもよ」と冗談を言ったら,妻が
「あの話はカエル.しかも王女さまはチュウしたんじゃなくて,カエルを壁に投げつけたら王子様に戻った」と訂正した.なんだそんな話だったのか.乱暴な王女さまだな.とにかく,悪さをしそうなサイズの虫じゃなかったし,もしかしたら助けた恩返しがあるかもしれないので放っておいた.
1時間くらいして妻が台所で「きゃあ」と叫んだ.なんだなんだと台所へ行ってみると,妻のお気に入りのカップに入った台湾茶の中でさっきの虫が溺れてこと切れていた.水が飲みたかったのならシンクについている水滴をなめれば危険はなかったものを,カップに飛び込むとはよほど水が飲みたかったのか.最後に高級台湾茶を飲めたのだから本望だっただろう.妻は台湾で買ってきた高級茶がダメになったのでご不満である.私も恩返しの前に虫が死んでしまったので残念に思った.

0 件のコメント:

コメントを投稿