JALとドコモが搭乗客がどれくらい空港へ近づいているかをデータとして得るために秘密計算を利用すると発表した。搭乗客が出発時刻に間に合いそうかを判定するためだ。なるほど、これは実用になりそうだ。搭乗客の位置情報の生データを航空会社が取得するのはプライバシー上問題になる。秘密計算を使えば、誰も生データは見られないが、プライバシーとは関係ない計算結果だけを必要な人が得ることができる。ドコモが仲間に加わっているのは、位置情報を取得するのに搭乗客が持っているスマホを使うからだ。
この記事を読んだとき、最初は秘密分散方式の秘密計算なのかと思ったが違った。よく考えるとドコモは顧客の位置情報の全てを持っているのだから、秘密分散方式ではありえない。今回の技術は秘匿クロス統計技術と呼ぶのだそうだ。18年前にはなかった言葉だ。肝はソルト付きハッシュ等で不可逆変換することと、ノイズを付加することで復号を妨げることで生データを航空会社には見られないようにすることだ。秘匿クロス統計技術は秘密分散計算よりも単純な暗号化だ。これなら秘密分散計算よりも計算コストが小さい。だから実用サービスとして導入可能になったのだろうと予想する。
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