- 現金・預金 1120兆円 51.0%
- 保険・年金 544兆円 24.8%
- 株式等 268兆円 12.2%
- 投資信託 131兆円 6.0%
- その他(債券等)132兆円 6.0%
個人金融資産2195兆円のうち、高齢者が1100兆円を所有している。金融資産の5割を人口の3割でしかない高齢者が持っている。タンス預金は個人金融資産2195兆円に含まれない。タンス預金は100兆円だと推定している人がいる。こんなに高齢者がお金を持っている理由は日本の社会主義政策のせいだが、今回は社会主義政策の問題については議論しない。
社会に出回っているお金であるM3マネーストックが総額1600兆円だ。これは信用創造で作られたお金を含むがその影響の議論は一旦置いておく。日本はこれまで日銀引き受け国債としてのべ600兆円のお札を印刷してきた。M3マネーストック1600兆円のうち600兆円がプリントごっこで刷ったお金ということだ。本来お金は1000兆円しかなかったのに、おもちゃのお金を600兆円たして1.6倍に水増しした。単純に考えればお金の価値は薄まって、物価は1.6倍になっているはずだ。しかし物価の値上がりは2019年まではゼロで、2025年でもせいぜい1.2倍でしかない。なぜ日本ではインフレが進まなかったのか。
以前のブログでも述べたが、この理由は高齢者がお金を死蔵している+銀行が有効な貸出先を見つけられないからだ。タンス預金はまさに死蔵されている。銀行預金であってもそのお金を企業に貸し出して産業の発展のために投資できないとそれは実質的には死蔵されていることになる。死蔵されているお金は存在しないのと同じだ。日本ではプリントごっこでおもちゃのお金を印刷したのだが、その大部分が死蔵され存在が消えてしまった。そのため社会全体ではお金の価値が希薄化せず、これまでインフレが進まなかった。
この状況は長い間続いてきたが、お金を死蔵している高齢者が死んでそのお金が相続されて子孫に渡ると状況が変わる。遺産を相続した子孫が裕福ではない場合は相続したお金を使う。お金は社会に流れ出し、お金の希薄化が始まる。その結果、インフレが進むだろう。
MMTではお金を印刷してもある程度は平気だと言われていた。その実例として米国と日本が挙げられていた。米国が平気なのは軍事的・経済的信用により米ドルが基軸通貨だからだ。日本が平気なのは上述したように国民がお金を死蔵しているからだ。どちらの国も平気だった理由が揺らぎつつある。
以下は蛇足であり本論とは無関係だ。最初に挙げた個人金融資産の内訳を以前の数値と比べると、現金・預金が減り、株式と投資信託も減っている。そして保険・年金が増えている。現金・預金が減ったのはインフレに対応したいという国民の意思の表れだ。株式と投資信託が減って保険・年金が増えているのは興味深い。自らリスクを取りたくない日本人の性質が読み取れる。保険会社や年金運用機関は株式などのリスク資産でお金を運用している。保険会社は運用リスクを負担する代わりに、リスクプレミアムの一部を受け取っている。
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