2025年6月29日日曜日

事務処理専任社員が廃止されて労働生産性が低下

20年前に事務処理専任社員が廃止された。それまでは各部署に事務処理専任社員がいた。社員と書いたけどベテランの管理職が付く役職だ。勤怠管理をはじめ契約とか各種申請とか社内のあらゆる疑問はこの人に聞くと解決する。このために我々は仕事に集中できて、労働生産性が上がっていた。この人を補佐するアルバイトも2名雇っていた。こんな人が各部署(総勢40名くらい)に一人いた。部署数は全部で50あったから50名の事務処理専任社員がいたことになる。

ところが20年前に人件費削減のためにこの役職を廃止したのだ。全ての事務処理は我々社員一人一人がすることになった。平社員だろうが課長だろうが部長だろうが自ら行わなくてはならない。さすがに役員以上は秘書がつくので秘書に任せることができる。その結果どうなったか。全社的に労働生産性が落ちたのだ。

勤務表投入などの毎日する処理は惰性でできる。しかし海外出張とか他社との守秘契約とかたまにする処理で詰まる。過去にやったことはあっても、1年も間が開くとやり方を忘れてしまう。そこでマニュアルを読み直してやり方を学ぶ必要がある。マニュアルがどこにあるかも忘れてしまっているので、そこから調べなくてはならない。やり方さえわかれば事務処理の書類入力は30分程度で済むが、マニュアル探しとマニュアル読み込みは下手をすると半日つぶれる。この非効率を全社員に強制しているのだ。労働生産性が落ちるはずだ。

事務処理に必要な税制とか輸出規制とかの法律の原則をひとりひとりの社員が知ることは意味があると思う。しかし、書類の作成をひとりひとりの社員が行うのは意味がない。例えば確定申告のときに行う書類作成を思い出せば分かる。1年に1回しか処理をしない我々が書類の書き方を理解するのはとても時間がかかる。ところが税理士事務所の人は同じ作業を毎日繰り返しやっているので、書き方は頭の中に入っている。100通の書類を作成するとき、我々素人100人がそれぞれ作成するために必要な総時間と、税理士事務所の職員が一人で100通を作成するのに必要な時間は、前者の方がはるかに時間がかかる。これは非効率だ。

20年前に事務処理専任社員を廃止した会社の上層部は経営がわかっていなかったのだ。それが今でも改善しないということは、悲しいかな今の上層部もおつむが弱いのだ。人件費を節約しようとして却って無駄遣いになっているのがわからないらしい。

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