2025年3月27日木曜日

日本の個人金融資産とマネーストックの規模感から将来を予想する

日本経済を考察する上で、貨幣規模を直感的に把握することは、議論を誤らないために重要です。そこで、最新のデータに基づき備忘録として以下に記します。その後に所感を述べます。

M3(広義のマネーストック)

M3は、経済全体における貨幣の流通量を指し、2024年4月時点で約1612兆円です。M3の構成要素は、現金通貨、預金通貨、準通貨、譲渡性預金(CD)などであり、信用金庫や信用組合など地域金融機関の預貯金も含む点がM2との違いです。

個人金融資産

個人金融資産は、不動産を除いた個人資産の合計であり、2024年時点で約2200兆円です。構成要素は以下の通りです。

* 現金・預金:約55%(約1210兆円)
* 株式・投資信託などリスク性資産:約20%(約440兆円)
* 保険・年金:約19%(約418兆円)
* その他:約6%(約132兆円)

個人金融資産のうち、現金の1210兆円はM3に含まれます。残りの402兆円は、企業が保有する当座預金、普通預金、定期預金となります。

国家の経済規模

2024年のGDPは約600兆円、国家予算は112兆円です。国家予算の収入は、税収が70兆円、国債発行が35兆円、その他収入が7兆円です。日本の国債発行は、他国と比較して特殊であり、概ね貨幣の増刷に相当します。

他国のGDPは、アメリカが30.34兆ドル、中国が19.53兆ドル、ドイツが4.92兆ドル、日本が4.39兆ドルです。ロシアは2.2兆ドル、ウクライナは0.2兆ドルです。

社会保障費規模

社会保障費は、国家予算とは独立して運用されています。

収入

* 厚生年金徴収額:30兆円
* 国民年金徴収額:2兆円
* 健康保険徴収額:33兆円
* 国家予算からの補填:38兆円
* 年金取り崩し:10兆円

支出

* 医療費支出額:47兆円
* 薬剤費支出額:8兆円
* 厚生年金支出額:48兆円
* 国民年金支出額:6兆円
* 生活保護支出額:4兆円

以上を踏まえた所感

社会保障費は、年間48兆円の赤字を抱えています。この赤字に対して、38兆円を国家予算から、10兆円を年金から補填しています。38兆円の国家予算のうち、35兆円は貨幣の増刷によって調達されています。今後、高齢化の進行に伴い、医療費の支出は増加し、若年層の減少に伴い、年金の取り崩し額も増加します。その結果、貨幣の増刷は増加の一途をたどることになります。

経済学において、インフレを招かない限り、貨幣の増刷は可能であるというMMT理論が存在します。実際、2013年からの異次元金融緩和において、大量の通貨発行が行われましたが、2020年まではインフレには至りませんでした。これは、MMT理論の妥当性を示唆するものでした。しかしながら、コロナ禍以降、日本でもインフレが発生しました。これは、通貨発行の過剰ではなく、物資供給の減少が要因ですが、結果としてインフレは発生しています。そのため、通貨発行の抑制を求める声が上がっています。しかし、社会保障費の赤字は深刻であり、現状ではやむを得ず通貨発行が続けられています。

財務省は、税収増加によるプライマリーバランス黒字化を目指していますが、35兆円の財政赤字を見落としています。現在の70兆円の税収を105兆円に増やすには、労働者の可処分所得が大幅に減少することになり、経済活動に悪影響を及ぼす可能性があります。このような増税は、国全体に悪影響を及ぼす可能性があり、慎重な検討が必要です。

通貨発行の継続については、歴史的に見ても、第一次世界大戦後のドイツが戦後賠償金の支払いのために通貨発行を続けた結果、ハイパーインフレに陥った事例があります。経済学の教科書が警告している通り、通貨発行の過剰はインフレを招く可能性があります。日本が同様の事態に陥る可能性は低いと考えられますが、長期的な視点で経済状況を注視していく必要があります。

個人金融資産からなぜインフレにならないかを説明いたします。個人金融資産は2200兆円に達しますが、その半分以上を高齢者が保有しており、彼らは生前にそれを消費する予定はありません。これらの資金が銀行を通じて企業に貸し出され、事業活動に活用されている状況は稀です。これらのお金は「死蔵」されていると言っても過言ではありません。このような状況下では、仮に毎年35兆円の通貨が発行され市場に投入されたとしても、それは誤差の範囲に過ぎません。死蔵されている資金が35兆円増加するだけで、結果として個人金融資産の増加に繋がるのみであり、状況は現状と大きく変わりません。

勘の良い読者であれば、既に気づいているかもしれません。日本において通貨発行によるインフレが発生しない理由は、個人金融資産の増加がその資金を吸収してしまうためです。一般的な国では、個人金融資産の増加に伴い銀行預金が増加すると、その資金を借り入れて事業を拡大する者が必ず現れます。その結果、経済規模が拡大します。しかし、日本では資金が死蔵されているため、事業拡大に寄与しません。

赤字の額からも説明できます。これまで政府が発行し市場に投入した通貨は1300兆円ですが、これが今後毎年35兆円ずつ増加した場合、いつ頃問題が顕在化するのでしょうか。正確な計算理論はありませんが、赤字が1京円(10000兆円)を超えた場合、通貨の価値が大幅に下落し、かつてのドイツのようにインフレが深刻化する可能性があります。それでも、日本の物価がドイツのように1兆倍になることはないでしょう。せいぜい10倍から20倍程度に留まると考えられます。赤字が1京円に達するのは(10000-1300)/35=249年後の話であり、それまで日本は緩やかに衰退していくと考えられます。過度に懸念する必要はないでしょう。

今後249年間(この数字はあくまでも目安であり、桁数以外は正確ではありません)、日本は北朝鮮のような貧しい国家へと変貌を遂げるでしょう。そもそも、日本人は皆が平等である北朝鮮型の社会を好むのかもしれません。皆の希望が叶うのであれば、それは喜ばしいことです。

問題の根源は社会保障費にあり、しかもその赤字分は、本来であれば必要のない高齢者の医療費や薬剤費、そして支払った以上の年金を受け取っている高齢者の分です。社会保障費は「社会破壊費」と名称を変更した方が適切かもしれません。この状況を改善するには、健康保険制度を米国のように民間保険に変更し、年金制度を廃止すれば良いだけです。しかし、高齢者の既得権益をなくすことになるため、実現は難しいでしょう。


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以下は私が書いた元の文章。上記はapple intelligenceの校正後の文章。

日本の経済を考えるときに、お金の規模を直感的に掴んでないと見当違いの議論になってしまう。そこで備忘録として最新のデータを記しておく。

M3(広義のマネーストック)=世間にお金がどれくらいあるか

2024年4月時点で約1612兆円
M3の構成要素は現金通貨、預金通貨、準通貨、譲渡性預金(CD)など。信用金庫や信用組合など地域金融機関の預貯金も含むところがM2との差異。

個人金融資産 =不動産以外の個人資産

2024年時点で約2200兆円
構成要素:
現金・預金:約55%(約1210兆円)。
株式・投資信託などリスク性資産:約20%(約440兆円)。
保険・年金:約19%(約418兆円)。
その他:約6%(約132兆円)

個人金融資産のうち現金の1210兆円がM3に含まれる。するとM3の残りの402兆円は企業が保有する当座預金や普通預金や定期預金ということになる。

国家の経済規模

2024年のGDPは約600兆円。国家予算は112兆円。国家予算の収入は税収が70兆円、国債発行が35兆円、その他収入が7兆円。日本の国債発行というのは他国に比べて特殊で、概ねお金を印刷していることに相当する。

他国のGDPはアメリカ(30.34兆ドル)、中国(19.53兆ドル)、ドイツ(4.92兆ドル)、日本(4.39兆ドル)な感じで、ロシア(2.2兆ドル)、ウクライナ(0.2兆ドル)だ。

社会保障費規模(補填分以外は国家予算とは独立であることに注意)

厚生年金徴収額:30兆円
国民年金徴収額:2兆円
健康保険徴収額:33兆円
国家予算からの補填:38兆円
年金取り崩し:10兆円
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収入合計 113兆円

医療費支出額:47兆円
薬剤費支出額:8兆円
厚生年金支出額:48兆円
国民年金支出額:6兆円
生活保護支出額:4兆円
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支出合計 113兆円

以上をふまえた個人的所感

社会保障費は年間赤字が48兆円である。この赤字に対して38兆円を国家予算から、10兆円を年金から補填している。38兆円の国家予算のうち35兆円はお金を印刷して調達している。今後も高齢者の人数は増えるので医療費の支出は増え続ける。今後も若い人の人数が減るので年金の取り崩し額は増え続ける。そうすると印刷しなければならないお金は増え続ける。

実はお金を印刷してはいけない訳ではないインフレになりやすいのでお金はむやみに印刷しない方がよいと経済学では言われているだけだ。逆を言うとインフレにならない限りお金は印刷してよい。これがMMT理論だ。実際2013年からの異次元金融緩和ではたくさんお金を印刷したが2020年まではインフレにならなかったことからMMT理論は合っていると思われた。ところがコロナ禍以降は日本でもインフレになった。これはお金を印刷しすぎたからではなく、品物の供給が細ったせいなのだがインフレはインフレだ。そのためもうお金を印刷するのはやめようという風潮が出てきた。ところが社会保障費の赤字はいかんともしがたいので、今でもやむを得ずお金を印刷し続けている。

財務省は税金を増やしてお金を印刷するのをやめようと(プライマリーバランス黒字化)しているが、35兆円足りないのを忘れている。今70兆円取られている税金をさらに35兆円増やして105兆円にしたら労働者が使えるお金は激減する。これでは国が滅びる。私が上に挙げた金額の桁数が頭に入っていれば、増税してプライマリーバランスを黒字にするなんて考えは実行不可能だとわかるはずだが、財務省の中の頭の悪い人は何も勉強してないらしい。

財務省のバカの話はともかく、このままお金を印刷し続けたら実際のところどうなるだろうか。歴史の中の例では第一次大戦後のドイツが戦後賠償金を律儀に払うためにドイツマルクを印刷した。そしたらドイツマルクの価値が1兆分の1になった。物価が1兆倍になるというハイパーインフレになった。経済学の教科書が警告していた通りだ。日本もハイバーインフレになるだろうか。この答は「しばらくはならない」だ。しばらくと言うのは100年くらいだ。MMT理論は実は正しいからこうなるのだが、MMT理論を持ち出さなくてもざくっとしたいいかげんな説明はできる。

個人金融資産からの説明を試みよう。個人金融資産は2200兆円ある。この金額の半分以上は高齢者が持っていて、彼らは死ぬまでそれを使う予定がない。これらのお金を銀行が企業に貸し出して、企業がビジネスのために活用しているかというとそれも少ない。これらのお金は死蔵されているという言葉がぴったりだ。この状態で毎年35兆円分のお金を印刷して市場に流し込んだとしても誤差でしかない。死蔵しているお金が35兆円増えるだけだ。つまり役に立たない個人金融資産が増えるだけで状況は今と同じだ。大して困らない。勘の良い読者は気づいたと思うが、日本でお金を印刷して増やしてもインフレにならない理由は個人金融資産が増えたお金を吸収してしまうからだ。普通の国だと個人金融資産が増えて銀行に預金が増えるとそのお金を借りてビジネスを拡大する人が必ず出るので、経済規模が拡大する。日本はお金が死蔵されてしまってビジネス拡大に寄与しない。

赤字の額からも説明できる。これまで政府が印刷して市場に流し込んだお金は1300兆円あるが、これが今後毎年35兆円増えるとして、何か困ったことが顕在化するのはいつだろうか。正しい計算理論はないが、さすがに赤字が1京円(=10000兆円)を超えたらお金の価値がひどく下がって昔のドイツみたいにインフレ騒ぎになるだろう。それでも日本の物価はドイツのように1兆倍にはならない。せいぜい10倍とか20倍レベルだ。赤字が1京円に到達するのは(10000-1300)/35=249年後の話なので、それまで日本はゆっくり衰退するだけのことだ。そこまで騒ぐことではない。

これから249年(わかっていると思うがこの数字はいい加減で当てになるのは桁数だけだ)かけて日本は北朝鮮みたいな貧しい国家になる。そもそも日本人はみんな同じという北朝鮮スタイルが大好きだろう。みんなの希望がかなうのだ。おめでとう。

全ての元凶は社会保障費で、しかもその赤字分は行く必要がないのに高齢者が病院へ行ったり薬をもらったりする分と、払った以上に年金をもらっている高齢者の分だ。社会保障費は社会破壊費と名称を変えた方が良いだろう。この状況を改善するのは簡単で、健康保険制度を米国のように民間保険に変更して年金制度を廃止すればよいだけだ。高齢者の既得権益をなくすことになるからこれが実現不可能なのは承知している。

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