2021年5月14日金曜日

ティーガーでIl-2を撃墜したのは88mm主砲によるものだった

ティーガー戦車のエース、オットーカリウスの乗るティーガーがロシアのIl-2を撃墜したとの記事を読んだ。20mm砲弾でも場合によっては弾くと言われたIl-2を、ティーガーの7.92mm機銃で良く落とせたものだと思った。いや、まてまて。標準ティーガーIには対空機銃が付いてない。主砲同軸7.92mm機銃と車体前部7.92mm機銃だけだ。いったいどうやって?

ウィキペディアで調べると、Il-2を撃ったのは主砲の88mm砲だった。戦車長はオットーカリウスだが、撃ったのはハインツクラーマー伍長(後に軍曹)だった。2発めで当てたそうだ。主砲の88mm砲はもともとは対空砲だったのは事実だが、戦車砲塔に搭載した時点で対空砲の性能は失なわれている。それで当てるとは漫画のような話だ。

これはクラーマー伍長の射撃の腕が良かったこともあるが、ティーガーだったからというのもある。ティーガーIは前面装甲120/100mm、後側面装甲80mmという重装甲(実はそうでもないのだが)が特徴だと思われがちだが、ティーガーIの真のすごさはその照準機構にあるのだ。視野が広くて明るく照準しやすい。航空機を狙えたのはティーガーIならではだった。この照準機構は精密で高価だったために、後に作られるパンターでは採用されず、パンターの照準機構はティーガーIより簡素だ。この高価な照準機構が再び採用されるのはティーガーIIまで待たなければならない。攻撃力も前面防御力もティーガーIよりパンターの方が高いのだが、戦車エースの愛機にティーガーIが多いのはそんな理由もある。

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