トルコリラはリーマンショックの2008年頃は1トルコリラ=90円だった。私はスワップ目当てでトルコリラを買っていたが、トルコリラの価値が下がってしまい1トルコリラ=30円のときに損切りした。投資したお金は1/3になったが、スワップをもらっていたので実際は1/2になった。それでも大損には変わりはない。
その後もトルコリラは下がり続け、2024年の今では1トルコリラ=4.7円だ。90円のころに比べると価値は1/19になった。対ドルだと価値は1/28になったことになる。トルコは食糧は自給自足できるが、エネルギーは半分を輸入に頼っているので当然インフレはとんでもないことになっている。トルコリラの価値の下落に見合ったインフレが起きている。ここ10年でトルコの物価は8倍くらいになった。
なぜトルコリラの価値が下落したかだが、複合的な原因だ。産業発展の遅れ、経済政策の失敗、それらに伴う大量の国債発行が理由だ。去年のトルコの国家予算が約1兆リラなのだが、国債の発行額は1兆5000億リラだ。日本の場合は国家予算が110兆円なのに対し、昨年の国債発行額は200兆円だ。日本の方が実は深刻だ。トルコの中央銀行は国債を自分で買ってはいない。トルコ国債の買い手はトルコ国内の銀行(トルコ人)と外人だ。日本の場合は国債200兆円のうち90兆円を日銀が買っている。これは90兆円のお金を印刷していることと同じだ。貨幣の過発行については日本の方がひどい状況なのに日本円の価値がトルコリラほどは下がっていないのは、トルコに比べると日本は外国に売ることができる品物がそこそこあるからだ。今はそうだが、だんだん日本の技術が衰退するとトルコリラみたいに円の価値が大きく下げることもあるだろう。
トルコリラの価値は対ドルで1/28になったが、日本円の価値も対ドルで1/5になる可能性はある。1ドル=80円のときの1/5とすると1ドル=400円となるだろう。20年以上未来の話だ。